研究課題/領域番号 |
26300009
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
市川 昌広 高知大学, 自然科学系, 教授 (80390706)
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研究分担者 |
田中 壮太 高知大学, その他の研究科, 教授 (10304669)
濱田 和俊 高知大学, 自然科学系, 講師 (60553154)
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212026)
島上 宗子 愛媛大学, その他部局等, 准教授 (90447988)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人口移動 / 離農 / 東南アジア / 焼畑 / アグロフォレストリー / グローバル化 |
研究実績の概要 |
農山村に長年暮らしてきた人々が有する在来知に関する研究は、これまで認識人類学や自然資源の管理・保全の観点からおこなわれてきた。これに対して、今後の在来知研究の重要性は、近年急速に進展している経済のグローバル化に伴う、地域の食糧安全保障のリスクへの対処という新たな観点から高まると考えている。グローバルなシステムが崩れた場合、地域の自給農業を支えるのが在来知だからである。一方、その在来知は、近年、世界的に多くの地域で急速に変容・衰退してきている。とくに東南アジアは、近年まで豊かな在来知により暮らしが支えられてきたが、急速な経済発展に伴い、自給農業に関する在来知の変容・衰退が著しい。そこで本研究では、自給農業に関連した、変容・衰退しつつある在来知について、地域の食糧安全保障の観点から評価し、その将来像を検討・提言することを目的とした。 2016年度においては、マレーシア・サラワク州においてはバラム川流域の村々を踏査し、都市への移住による過疎・高齢化の進行と在来知の消失との関係を探った。インドネシア・中部ジャワにおいては、20年近く前の村落組織に関する調査結果と比較するために聞き取り調査を実施した。タイ北部においては、在来知研究担当者の体調の問題で調査が一部滞ったが、アグロフォレストリーなどの農学調査では進展が引き続きみられた。今年度の各地域のおける調査結果より、各地域ともに人口の農村・都市移住による在来知の変容が進んでいる傾向が共通して認められた。一方、たとえばサラワクでは、インドネシア人労働者の移入により、農村の労働力が確保されていた。中部ジャワでは、農村の都市化が進展しているなど、地域ごとに特徴的な状況がみられた。調査地域間比較には共通する要因と異なる要因およびそれらの背景を整理する必要があり、その点が今後の課題となったため、1年の研究期間延長することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タイでの在来知調査を予定していた連携研究員がおめでたのために現地調査ができなくなった。このため本研究の中心的な課題について、タイ北部の知見の収集が滞ったため。
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今後の研究の推進方策 |
タイ北部については、研究代表自らが再訪し、補足調査を実施する。このことにより在来知に関するデータ収集とともに、地域間比較の視点を明確にして、研究成果を充実したものにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
タイ北部における現地調査を予定していた連携研究者が健康の都合で調査ができなくなった。その補足調査およびタイを含めた調査地域間比較の実施のため。調査地間比較には日本も含まれるが、タイでの調査結果を受けてその補足調査も実施する。
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次年度使用額の使用計画 |
おもに旅費および現地調査の際の謝金、レンターカー代などに使用する。
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