研究課題/領域番号 |
26300011
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
李 暁東 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (10405475)
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研究分担者 |
平石 耕 成蹊大学, 法学部, 教授 (00507105)
江口 伸吾 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (20326408)
唐 燕霞 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (80326404)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | つながり / 社区 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国社会における基層社会のコミュニティ建設に注目して、市場経済の深化によって失われた基層社会の人々の間の「つながり」をいかに取り戻すかを考察し、「社区(コミュニティ)建設」の取り組みから自立的な社会の創出の可能性を考えることを目的とするものである。昨年度の研究概要は次のとおりである。 1.中国で現地調査を実施した。昨年度は、北京、湖南省の長沙市、河南省の洛陽市の各地で、とくに都市建設に伴い、旧市街の家が取り壊されていくなかで、古い社区の住民が郊外の新居に移り、旧来の人間関係がバラバラになっていく状況を中心に現地調査を行った。(1)9月の初めに、北京市の魯谷街道所轄の三つの社区と湖南省長沙市の古い市街地社区に対して調査を行った。(2)2月末に洛陽市西北隅街道の社区を調査した。居民委員会の責任者にインタビューを取り、一般住民の家庭を訪問した。これらの調査を通して、コミュニティの解体が予定されている社区において、流動人口が大量に住み込み、人々の間のつながりが薄くなったが、それでも、共通した難題に直面したときに人々が互いに協力してつながりを生み出したことを観察できた。 2.上記の新しい社区を調査したとともに、北京の魯谷街道を追跡調査した。これまで2回調査したことのある調査地である。当街道は基層社会の自治を推進すべく、全国に率先して街道を「大社区」に改め、基層社会の自治の第一歩を踏み出した「半自治」と謳われていた。特に「社区代表会議」という住民参加を象徴する機構の最新状況について、関係の担当者にインタビューを実施した。 3.調査メンバー一同が北京で中国人民大学の教授である李路路氏と于顕洋氏と会合を持ち、中国基層社会の現状、及び中国での研究動向について伺い、意見交換をして新たな識見を得ることができた。 4.社区研究、社会学関係の書籍を購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が学部長を務めるのをはじめ、他の研究メンバーの多くも大学で役職に就き、それぞれ学内業務に追われた。そのため、海外調査は何とか予定通りにこなしたが、年度の研究成果のまとめとして研究集会を開催することはできなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
1.研究メンバーで打ち合わせ会を開催し、今年度の海外調査(主として補足調査)の予定地を選定する。 2.研究メンバーの間の議論を踏まえて、要確認事項や、最新状況を把握するために中国現地で補足調査を行う。その際、 研究総括シンポジウムの開催に向けて、現地の研究協力者と最終調整を行う。 3.研究総括シンポジウム 12 月をめどに、本研究の成果を広く一般に発信するために、海外の研究協力者や関連分野の専門家を招聘し、公開シンポジウムを開催する。 4.成果発表 学会報告:これまでの研究成果を踏まえて、研究書の執筆作業に取り組む。また、研究メンバーが所属する学会の紀要に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は、研究代表者をはじめ、研究メンバーの多くはそれぞれの大学で役職に就き、大学業務に追われていたため、予定されていた年度末の国際ワークショップの開催をやむなく見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、昨年度開催予定の国際ワークショップを実施することにしたい。
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