研究課題/領域番号 |
26300014
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
鶴田 格 近畿大学, 農学部, 教授 (60340767)
|
研究分担者 |
杉村 和彦 福井県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40211982)
坂井 真紀子 東京外国語大学, その他部局等, 准教授 (70624112)
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | アフリカ半乾燥地 / 農牧社会 / 食料安全保障 / 土地収奪 / 農業政策 |
研究実績の概要 |
平成28年度は現地調査を継続すると同時に、これまで行ってきた研究を学会などの機会において積極的に発表してきた。まず6月に行われた日本アフリカ学会では「東アフリカ農牧民社会の現代的変容:現金経済・都市化・土地問題」と題したセッションを設け、代表者の鶴田、分担者の杉村・坂井がこれまでの成果について発表した。次に8月にはカナダで開催された国際農村社会学会においてはアフリカ農業の近代化が抱える諸問題についてのセッションを設け、代表者と分担者を含む数名が発表した。さらに8月と翌年2月には調査地のドドマで現地ドドマ大学の研究者とともに国際研究集会を開催し、2月にはアフリカとアジアの土地収奪の事情に詳しいAndreas Neef教授(オークランド大学)を招聘して土地収奪を規制するための政策的枠組みの可能性について発表をしていただいた。また12月にはアフリカ農村経済研究の権威であるGoran Hydenフロリダ大学名誉教授を日本に招聘し、代表者・分担者を含む複数のアフリカ研究者とともにアフリカ農村・農業の基本的性格に関する議論を深めた。 平成28年度にはまた、分担者の杉村と現地の研究パートナーであるドドマ大学のMwamfupe教授が中心になって編纂したタンザニアの農牧民社会変容に関する本が出版された。 研究拠点であるドドマ州Majeleko村においては、前年度より引き続いて住民の生活とりわけ資源利用の変遷について、階層分化との関連を念頭におきつつ調査を行った。また土地収奪の問題が表面化しているドドマ州北部のイティソ地区において、ドドマ大学の研究者との共同調査を実施し、その成果の一部は平成29年2月に現地で開催したワークショップにて発表された。またドドマ州北西部ファルクワ地区においては、前年に引き続きダム建設によって引き起こされる住民の居住地・農地の移転に関する動向を調査した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度の後半に代表者の鶴田が補足調査のためタンザニアに渡航する予定であったが、体調不良のため渡航をとりやめることとなった。そのため最終的な研究の取りまとめができていない。平成29年度まで研究期間を1年延長し、そのあいだに補足調査と研究の総括を行うこととした。
|
今後の研究の推進方策 |
村レベルでの食料安全保障や土地など資源利用の変遷、貨幣経済の浸透がもたらす村落経済の変容について、これまで研究対象としてきたMajeleko村での補足的調査を実施する。同時に、これまで収集してきた個々の世帯の家計に関わるデータの整理に努める。また土地収奪の問題が広範に生起しているドドマ州北部のイティソ地区において、ドドマ大学のカウンターパートや現地NGOと協力をしつつ調査を進めていく。同時に、タンザニアの土地問題や農村開発について専門的に取り組むNGOからドドマ以外の地域についての情報を得る。 平成29年度は最終年度であることから、研究代表者・分担者が中心となって、タンザニア農牧民社会の変容やアフリカの農業近代化政策に関わる研究会を実施し、議論を深めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究者代表者の鶴田格が平成29年2月から3月にかけてタンザニアでの現地調査を予定していたが、体調不良により渡航中止を余儀なくされたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度8~9月に鶴田がタンザニアに渡航し、ドドマ州農村部で補足調査およびデータのとりまとめを行う。また国内研究会を複数回開催する。
|