研究課題/領域番号 |
26300023
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松井 太 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10333709)
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研究分担者 |
坂尻 彰宏 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30512933)
岩本 篤志 立正大学, 文学部, 講師 (80324002)
荒川 慎太郎 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (10361734)
橘堂 晃一 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00598295)
佐藤 貴保 盛岡大学, 文学部, 准教授 (40403026)
岩尾 一史 神戸市外国語大学, 付置研究所, 研究員 (90566655)
赤木 崇敏 四国学院大学, 文学部, 准教授 (00566656)
山本 明志 大阪国際大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70710937)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 敦煌 / トゥルファン / 出土文献 / 多言語 / 現地調査 / 仏教石窟 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,敦煌(中国甘粛省)・トゥルファン(中国新疆ウイグル自治区)および周辺地域から出土した文献資料および当該地域の諸石窟遺跡に残る銘文資料を解読研究し,その校訂テキストを歴史学的に利用して当該地域の歴史展開の諸相(特に諸文化の接触・摩擦・融合)を,総合的な視点から解明することを目的とする。 第2年度となる平成27年度には,特に敦煌地域の諸石窟(莫高窟・楡林窟など)の銘文資料について継続的に現地調査を行なった。具体的には,2015年11月に松井・橘堂・白玉冬(研究協力者)が敦煌莫高窟・楡林窟でのウイグル語・モンゴル語銘文調査を実施した。同年12月には,坂尻・岩本・荒川・佐藤・岩尾・赤木・山本が敦煌莫高窟・楡林窟の諸言語銘文と供養人画像の調査を実施した。 あわせて,個々の参加メンバーが,第1年度までの調査研究活動に基づく成果を,各種の学術刊行物や国内・海外の学会において提示するとともに,今後の研究の進捗に資する情報を収集した。特に松井・橘堂は,莫高窟敦煌研究院で現地調査研究成果をもとにした講演を行ない,現地機関との研究交流の促進に努めた。また,国際学会・国際ワークショップにおける成果発表として,以下のものを特記しておく(詳細については「13.研究発表」参照):荒川「第四届西夏学術論壇曁河西歴史文化研討会」(張掖:河西学院)・「西夏語言与文化学術研討会」(銀川:寧夏大学);岩本「博物學與寫本文化:知識-信仰傳統的生成與構造學術研討會」(上海・復旦大学);岩尾「絲綢之路出土民族契約研究国際学術論壇」(吐魯番:新疆吐魯番学研究院)。 また,4名の研究協力者を海外調査や国際学会での成果発表のために派遣した(白玉冬:北京;荻原裕敏・慶昭蓉:杭州,吐魯番;笠井幸代・サンクトペテルブルク)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は主に敦煌石窟の調査に注力した。現地遺跡を管理する莫高窟敦煌研究院の許可のもと,現地調査を進捗させ,従来には困難であった石窟内部の写真撮影許可をも得ることができた。本研究メンバーが現地機関との学術的交流を発展させてきた成果の一環と言え,写真資料の検討によって歴史学的・言語学的な分析を深化させることが期待できる。 なお,本研究課題と参加メンバーをオーバーラップさせている東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の共同利用・共同研究課題「新出多言語資料からみた敦煌の社会」において,本課題の調査成果や種々の研究情報を交換することができ,メンバー各自の作業を横断的に比較検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は最終年度となるので,研究成果を図書として刊行するための準備を主要な課題とする。 ただし,学術的水準を高めるため,年内までは資料調査・現地調査を継続する。特に,写真撮影資料を将来できた敦煌石窟については,年末に再度現地調査を実施する予定である。 また,可能な範囲で国内・国外の学会において成果発表に努めるとともに,研究情報の収集に尽力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
敦煌・トゥルファン地域の現地調査において,現地通貨建ての石窟調査費用(「その他」に計上される)を支出する必要があるが,その金額は現地調査の時点まで確定できない。本年度の敦煌現地調査は12月末となり,また立替払いによる執行となるため,最終的な残額の確定が年度末近い時期にまでずれこんだ。 また,本年度より研究代表者が所属機関を変更したが,新たな所属機関において業務が多忙化し,特に本年度2~3月に予定していた研究活動を縮小させる必要が生じたことも原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究で主要な渡航先となる中国地域では,宿泊費や車両借上費など諸経費が急激に高騰している。また,海外学術調査を実施する本研究課題においては,円安傾向は活動の実施に大きな影響を与えるが,平成28年度の為替情勢も引き続き円安基調となるものと予想される。このような状況に鑑み,次年度使用額は主に旅費に充当して,海外での調査活動を充実させることとする。
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