研究実績の概要 |
これまで未調査だった, ピースリバー地域で田林と菊地と兼子が, クートニー地域で田林と菊地とワルデチュックが, 現地調査を行った。また, 菊地はバンクーバー大都市圏の都市農業, そして矢ケ﨑がオカナガン地域の中部と南部を中心とした現地調査を行った。さらに, 仁平は2011年農業センサスデータに多変量解析を適用して, 農業地域区分を完成させた。ピースリバー地域ではウインターアクティビティ, アラスカハイウエーへのゲートウエーとしての観光, チェンソーカービングや世界ジオパークなどを活かしたまちづくりなどの農村空間の商品化に関する諸活動があった。クートニー地域では地元産の新鮮・高品質で, 安心・安全の農産物に対する需要が高まっており, それが有機栽培とダイレクトマーケティングの発展につながった。オカナガン地域では, 多様で活発なワインツーリズムが展開する北部, 湖岸段丘に形成された果樹地域がブドウ栽培地域へ転換され, 新しい住宅開発も進行し, 美しいワインツーリズム景観が形成されている中部, 新しいワイナリーと大規模ワイナリーが混在する南部, といった地域差を明らかにした。また, バンクーバー大都市圏では, 都市農業が行われている農地が, コミュニティガーデンとして緑地空間や余暇空間を維持していた。ブリティッシュコロンビア州では, 人口分布や農業, 自然環境と土地資源などの地域の条件を反映して, 農村空間の商品化の主体と農村空間の消費者がともに多様である。農村空間の商品化は, 全体として地域の産業や社会を維持するために重要な役割を果たしている。2018年3月22~23日に開催された日本地理学会春季学術大会で4つの研究発表を行い, 研究成果の総括を行った。最終年度であるため, これまでの研究の結果を14の報告からなる研究成果報告書としてまとめ, 単行本出版への準備を始めた。
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