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2014 年度 実績報告書

フランスの斜陽工業地域における社会連帯経済

研究課題

研究課題/領域番号 26300033
研究機関大阪市立大学

研究代表者

立見 淳哉  大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 准教授 (50422762)

研究分担者 大貝 健二  北海学園大学, 経済学部, 准教授 (00547838)
長尾 謙吉  大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50301429)
本多 哲夫  大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (50336799)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード社会連帯経済 / 脱工業化 / 地域産業政策
研究実績の概要

本研究は、いち早く脱工業化を経験したフランスの地方工業都市を対象に、社会連帯経済の視点から新たな都市・地域経済の可能性を展望するものである。H26年度は、毎月1回の研究会を通じて問題意識を共有するとともに、3月にはフランス北部の斜陽工業地域であるリール地域のフィールド調査を行った。リール地域は、第二次世界大戦後、伝統的工業の劇的な衰退によって失業と社会統合の問題に対処してきた、社会連帯経済の取り組みが活発な地域である。
1週間のリール滞在を通じて、社会連帯経済を取り囲む諸実践についてインタビュー調査を実施した。連帯経済を、経済と社会の関係を再構築する試みとして捉えるならば、当該地域の社会的素地の理解は不可欠である。今回調査では、この点を補うためにフランスの社会保障制度の重要なアクターである、北県家族手当金庫CAFを訪問した。その際、連帯経済担当のリール市議会議員からもあわせてインタビューを行った。社会連帯経済の展開については、アクターのとりまとめ組織であるAPES(「連帯経済のためのアクターActeurs pour une économie solidaire」)を中心に調査を行った。加えて、地域通貨関連の会員のアソシアシオンを訪問した。さらに、リール地域商工会議所とノールパドカレ州議会では、2013年から始動した「第三の産業革命政策」について詳細なインタビューを行った。「第三の産業革命」は、新しい情報技術を駆使しながらエネルギー源を再生可能エネルギーに切り替えることで新しい産業と社会を目指す壮大な社会実験であり、連帯経済を社会インフラと産業面で補完するものとして重要な位置を占める可能性がある。
H26度の研究を通じて、リール地域において社会連帯経済を支える諸条件について理解を深め、次年度の調査の重要な足掛かりを築くことができたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通りのスケジュールで進んでいる。3月の調査では、「第三の産業革命」という新規性の高い政策的展開についても詳細に把握することができ、大きな成果があったと言える。

今後の研究の推進方策

H27年度は引き続きリール調査を継続する。フィールド調査に加えて、当該地域の連帯経済を理解する上で重要であると考えられる「新しい豊かさ指標」についても研究を進める。なお、この指標はリール大学の研究者が地域との対話を行いつつ構築しているものである。

次年度使用額が生じた理由

当初、フランス調査を予定していた分担者の本多が学内の業務状況等から参加できなくなり、研究費を次年度に持ち越すことになったことが大きな要因である。また次年度のより集中的な調査に備えて、極力初年度の支出を抑えることにした。

次年度使用額の使用計画

本多に代わってフィールド調査を実施する新規の研究分担者に配分すると同時に、フランス語資料の収集・読解のための協力謝金、より多くの調査を行うための通訳などに充当する予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] フランスのショレ・アパレル縫製産地の変容―制度・慣行の役割―2015

    • 著者名/発表者名
      立見淳哉
    • 雑誌名

      地理学評論

      巻: 88-1 ページ: 1-24

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 「資本主義の新たな精神」と手仕事の復権2014

    • 著者名/発表者名
      立見淳哉
    • 雑誌名

      地域開発

      巻: 602 ページ: 25-29

  • [雑誌論文] Social construction of the ‘city' in the global edge: Community, network and policy2014

    • 著者名/発表者名
      Junya Tatemi and Kenkichi Nagao
    • 雑誌名

      Paper presented for the annual conference of "french association of political economy"

      巻: 2014 ページ: 1-13

  • [雑誌論文] 地域と共に生きる中小企業2014

    • 著者名/発表者名
      本多哲夫
    • 雑誌名

      植田浩史・桑原武志・本多哲夫・義永忠一・関智宏・田中幹大・林幸治『中小企業・ベンチャー企業論[新版]―グローバルと地域とのはざまで―』有斐閣

      巻: 2014 ページ: 171-188

  • [雑誌論文] 地域経済と中小企業2014

    • 著者名/発表者名
      本多哲夫
    • 雑誌名

      植田浩史・桑原武志・本多哲夫・義永忠一・関智宏・田中幹大・林幸治『中小企業・ベンチャー企業論[新版]―グローバルと地域とのはざまで―』有斐閣

      巻: 2014 ページ: 61-79

  • [雑誌論文] 都市下層、<都市>社会政策、ロカリティ―『大正・大阪・スラム』の空間論 的意義―2014

    • 著者名/発表者名
      長尾謙吉
    • 雑誌名

      経済学雑誌

      巻: 115-3 ページ: 197-203

  • [雑誌論文] 地域産業政策の展開とその到達点2014

    • 著者名/発表者名
      大貝健二・池島 祥文
    • 雑誌名

      地域経済学研究

      巻: 27 ページ: 48-61

  • [雑誌論文] (一財)北海道開発協会平成25年度研究助成サマリー 北海道における地域産業振興と社会的・人的ネットワーク2014

    • 著者名/発表者名
      大貝健二
    • 雑誌名

      開発こうほう

      巻: 612 ページ: 34-38

  • [学会発表] 自治体中小企業政策における政策評価―大阪市のビジネスマッチング支援を事例として―2014

    • 著者名/発表者名
      本多哲夫
    • 学会等名
      日本中小企業学会西部部会
    • 発表場所
      兵庫県立大学(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2014-07-05
  • [学会発表] Social construction of the ‘city' in the global edge: Community, network and policy2014

    • 著者名/発表者名
      Junya Tatemi and Kenkichi Nagao
    • 学会等名
      French association of political economy
    • 発表場所
      パリ第13大学(フランス・ボビニー)
    • 年月日
      2014-07-02
  • [学会発表] 認知(文化)資本主義と経済地理学2014

    • 著者名/発表者名
      山本泰三・立見淳哉・原真志・長尾謙吉
    • 学会等名
      経済地理学会第61回大会
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2014-05-25

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公開日: 2016-06-01  

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