研究課題/領域番号 |
26300033
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
立見 淳哉 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 准教授 (50422762)
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研究分担者 |
大貝 健二 北海学園大学, 経済学部, 准教授 (00547838)
長尾 謙吉 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50301429)
本多 哲夫 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (50336799)
大田 康博 徳山大学, 経済学部, 教授 (90299321)
小川 亮 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (40707999)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 社会連帯経済 / 脱工業化 / 地域産業政策 |
研究実績の概要 |
本研究は、いち早く脱工業化を経験したフランスの地方工業都市を対象に、社会連帯経済の視点から新たな都市・地域経済の可能性を展望するものである。H27年度は、前年度と同様に、毎月一回の研究会を通じて、問題意識の共有と調査対象地域に関する制度・社会経済状況・既存研究における争点等についての理解を深めるとともに、9月には前年度に引き続き、フランス北部の斜陽工業地域であるリール地域のフィールド調査を行った。リール地域は、第二次世界大戦後、伝統的工業の劇的な衰退によって失業と社会統合の問題に対処してきた、社会連帯経済の取り組みが活発な地域である。 リール地域におけるインタビュー調査を一週間の期間に集中的に実施した。本研究の特色は、社会連帯経済の展開を丹念に明らかにすることに加えて、一般にはサードセクター(ボランタリーセクター)との重なりにおいて理解される社会連帯経済の有する、市場経済領域との接点、ならびに社会連帯経済と市場経済の地域レベルにおける組み合わせに注目する点にある。今回の調査は、ブーローニュシュルメール地域の地域通貨「ブッソル」の取り組みや、リール都市圏の大規模再開発地区である「ユニオン地区」の実践にかかわる諸アクターにインタビューを行った。前者は加入商店で実際に財やサービスを購入することが可能なタイプの地域通貨であり、後者は社会連帯経済と経済開発の交点に位置する事例であり、本研究の論点を深める重要な知見を得ることができた。とりわけ後者については、社会包摂活動に寄与するクリエーターの集団、再開発の担当者、デヴェロッパー等多彩なアクターに対してインタビューを実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りのスケジュールで進んでいる。9月の現地調査では、大規模再開発地区に集中的にインタビューに入ったことで、様々なアクターの実践や立場、利害の問題など重要な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度もまた引き続きリール調査を継続する。フィールド調査に加えて、そうしたミクロな活動の文脈をなす当該地域の社会経済状況について、統計分析、GISによる地理的分析を通じて把握する。H27年中にフランスの現地研究者とのコンタクトに成功しており、フランスとりわけリールに拠点を置く研究者たちの論点・成果を吸収・消化することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、次年度の調査は追加的な位置づけであったが、研究を進展させ課題が一層明確となる中で、最終年度においても集中的なインタビュー調査の実施が必要との認識が生じ、極力、支出を抑えたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
9月に今年度とできる限り同様の規模でフィールド調査を実施するための費用に充当する。
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