| 研究課題/領域番号 |
26300034
|
|---|
| 研究機関 | 東海大学 |
|---|
研究代表者 |
吉田 晃章 東海大学, 文学部, 講師 (60580842)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
| キーワード | 先スペイン期 / 遺跡 / 建築様式 / 岩絵 |
|---|
| 研究実績の概要 |
新大陸文明間の交流を問う端緒として、メキシコ西部地域と南米北西部に主に先古典期中期から古典期前期（前1000年～後600年頃）にかけて興った縦穴付水平墓室の埋葬文化に焦点を当て、埋葬文化拡大のプロセスと文明間交流を実証的に研究・解明しようとすることが本研究の目的であるが、カウンターパートを変更しため、対象とする年代がやや新しい時代になることが想定されている。昨年度は現地機関への発掘申請を行っていたが、結局年度内には、発掘調査を実施できなかった。しかしながら、ようやく2017年4月に許可が下りた。盗掘されていない埋葬コンテクストを含む調査になることが期待されている。カウンターパートであるミチョアカン大学の考古学者らと打ち合せを行い、来月５月には発掘を実施する。
また、昨年度は発掘には至っていないが、これまでの踏査データと文献資料から研究成果を、（単著 吉田晃章「メキシコ西部における埋葬と世界軸－竪坑墓の象徴性に関する一考察－、『文明研究』、35号、東海大学文明学会）にまとめ、さらにカンターパートの書籍に踏査成果をまとめることができた（”Primera visita al sitio arqueologico Presa de la Luz en la Region de Los Altos”. El Santuario Rupestre de Los Altos de Jalisco, pp.I-IV, Pandra）。昨年度、3学会で学術発表を行い、成果の公開に努めた。とくに比較文明学会では、研究の主要テーマである「先スペイン期メキシコ西部からみる地域間交流と文明の盛衰－中米文明交流圏に関する一考察－」と題し、研究の成果を発表し、アンデス文明との相互の影響を紐解いた。さらに大学はもちろん、勤務先の専門学校、市民講座など教育の分野でも成果を大いに還元することができた。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一昨年には、カウンターパートを変えざるを得ない事由が発生し、やむなくカウンターパートを変更した。このため、調査地域を変更せざるを得なくなったが、臨機応変に対応し新たなカウンターパートと調査を再開した。また、2016年度3月に実施予定であったメキシコ、ハリスコ州におけるロス・アガベス遺跡の発掘調査が、現地の発掘許可書を発行するメキシコ国立人類学歴史学研究所審議会の人事異動などで許可申請処理が遅れており、やむなく延期となっていたが、ようやく手続きが再開され4月5日に発掘許可を得ることができた。計画が遅れているが、鋭意努力しようやく最終段階に到達している。
|
| 今後の研究の推進方策 |
今回発掘を予定している地域は、考古学的にあまり先行研究がない点からも注目される。また竪坑墓の研究もあまり行われていないが、数少ない先行研究から竪坑墓発見の可能性は十分あるものと思われる。発掘対象のロス・アガベス遺跡では、広場の中央の祭壇から、生贄などの埋葬が確認されることも想定され、今年度の発掘調査に期待がかかっている。複数のマウンドと広場を擁する遺跡と埋葬がどのような関係にあるのかを確認し、南米の調査例との比較を視野に入れ、調査を進めたい。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
2016年度3月に実施予定であったメキシコ、ハリスコ州におけるロス・アガベス遺跡の発掘調査が、現地の発掘許可書を発行するメキシコ国立人類学歴史学研究所審議会の人事異動などで許可申請処理が遅れており、やむなく延期となっていたが、ようやく手続きが再開され4月5日に発掘許可を得ることができた。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
すでに4月初旬に許可が得られ、2017年度に5月、2018年2月、3月に発掘調査を実施予定である。繰り越した研究費補助金は使途が確定している。主な使途は渡航費と発掘調査にかかわる人件費である。
|
