研究課題/領域番号 |
26300037
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
奥島 美夏 天理大学, 国際学部, 准教授 (10337751)
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研究分担者 |
永井 史男 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10281106)
金子 勝規 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (10708085)
池田 光穂 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40211718)
石川 陽子 首都大学東京, その他の研究科, 准教授 (40453039)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 文化人類学 / 社会学 / 経済学 / 保健医療 / 移住労働 / 東南アジア |
研究実績の概要 |
2015年度は各自の東南アジア調査および外国人保健医療人材への学習支援を継続するとともに、前年度より懸案のタイ保健省職員招聘を実施した。 まず、研究分担者・石川陽子教授、研究協力者・尾形直子准教授、および首都大学東京主催のEPA看護師候補養成事業の一環として「EPA看護師候補者参考書ワークショップ」が6月6日に開催され、奥島もオブザーバーとして参加した。EPA候補者、厚生労働省、JICWELS、HIDA、外務省、国際交流基金、候補者の配属先などから担当者が集まり議論した。 次に、6月21日に科研会議を京都テルサにて開催し、前年度の現地調査報告と今後の課題検討をした。 さらに、11月はタイ保健省政策担当職員2名を招聘し、ワークショップ(11/7・8)・視察を実施した。Rampai Kaewvichien氏(Chief of International Health Policy and Strategy of Strategy Section, Bureau of Policy and Strategy)はタイ保健省の基本姿勢や中長期計画を、またJureerat KIJSOMPORN博士(Director of Research Division, Praborommarajchanok Institute for Health Work Force Development)は看護人材の育成と課題を報告、金子(タイ私立病院の国際進出)、石川(日本の看護教育)、池田(日本における外国人労働者の現状)、研究協力者・新美達也准教授(佐賀大学、ベトナムの対ドイツ派遣)、松田美智子教授(天理大学、日本の介護制度)も報告した。続く11月9日には研究協力者・河野あゆみ教授および大阪市立大学大学院看護学研究科によりワークショップ「タイの看護教育に関する体制とグロバール化の動向」も開催された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ASEAN経済統合の年となったものの、予想以上に人材移動の制度整備が進んでおらず、特に送り出し主要国のうちインドネシアは保健省の国内福祉主眼に転向した政策下で看護師・医師の送り出し、また海外からの受け入れに消極的姿勢を示すようになった。このため、2015年度はメンバーが個々の研究調査を進める余裕があり、EPA候補者支援やタイ保健省職員とのワークショップ・視察などに力を注ぐことができた。こうした活動を通じて、地域の保健医療機関や教育機関の関係者との交流・意見交換も深められた。
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクト3年目に当たる2016年度は、引き続きASEAN経済統合後の保健医療人材の動向を各メンバーが経過観察するとともに、日本国内の保健医療人材の支援を行い、またベトナムが力を入れるドイツ・北欧諸国への介護人材(看護研修生)派遣事業などの動きを追跡調査する予定である。同事業には、個人宅の劣悪な労働条件下で働いてきた家事・介護労働者の派遣完全停止(2017年予定)を控えたインドネシア、その他諸国も注目しており、世界的な高度人材送り出しへのシフトを促す機会でもある。 一方、日本国内では家事労働者派遣が始動し、介護研修生導入も議論されている現状で、国際情勢に逆行する動きをどう調整していくのかが問われている。この点も科研調査の視座に含めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者の池田は、年度中盤より所属機関内の急な人事異動により所属センター長を引き受けることになり、激務のため予定していた海外調査が実施困難になった。 また同じく分担者の永井は、タイ政府からのワークショップ招聘者が2名にふえたため配分金額を超えるリスクが予想され、1名分を奥島の方で負担したことにより余剰金がでたもの。
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次年度使用額の使用計画 |
池田は本年度後半でセンター長を他と交代し、海外調査を行う予定である。また、永井も海外出張などを行う予定である。
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備考 |
研究分担者・池田光穂教授による各種論考・学術メモのウェブサイトの一部として掲載。
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