研究課題/領域番号 |
26301010
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 明男 大阪大学, 法学研究科, 教授 (60206787)
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研究分担者 |
竹中 浩 大阪大学, 法学研究科, 教授 (00171661)
北村 和生 立命館大学, 法務研究科, 教授 (00268129)
佐伯 彰洋 同志社大学, 法学部, 教授 (10257793)
三阪 佳弘 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (30219612)
恩地 紀代子 神戸学院大学, 法学部, 教授 (60399219)
南川 和宣 岡山大学, 法務研究科, 教授 (60457231)
折登 美紀 福岡大学, 法学部, 教授 (80248286)
佐藤 英世 東北学院大学, 法務研究科, 教授 (90205899)
田中 孝和 姫路獨協大学, 人間社会学群, 准教授 (90441328)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 法曹養成 / 公務員養成 / 法の担い手 / 法のガバナンス / 法治主義 / 法の支配 |
研究実績の概要 |
2017年2月18日に大阪大学にて実施した国際シンポジウム「公的部門における法の担い手のあり方と行政法・行政法学」の諸報告を基礎として、共同研究の総括とすべく書籍化のための整理・体系化と補遺を行った結果、大阪大学出版会の教員出版助成の対象に採択された。その後、さらに各執筆者において内容を書き改めたものを研究代表者を編者とする『日本型法治主義を超えて―行政の中の法の担い手としての法曹・公務員―』として2018年3月に大阪大学出版会から出版した。本書はおおよそ次のような内容である。 わが国では法治主義が制度化されているものの、諸外国と比べて著しく訴訟が少ない環境において、行政とその担い手である公務員が法律・条例の立法案と政省令・規則を作り、法を適用・執行する、つまり、実質的に法治主義の仕組みを作動させている。しかし、その公務員の多くは学部卒にとどまり、高いレベルの専門的教育を受けているわけではなく、専門的能力は主として採用後のOJTや研修を通じて獲得される。しかし、個人間・社会階層間の複雑なトレードオフに対処するための政策選択が必要な時代において、また、行政事件訴訟法の改正によって、従来は訴訟において争われることのなかった行政決定が争われるようになったことを考えると、わが国の決定システムを特徴付けるといわれる稟議制によって、行政の説明責任を果たすための行政の決定の専門的合理性が確保されるとはいえない。そこで、法曹等高度な養成過程を経た者が法を担う諸外国との比較、わが国と諸外国の法曹・公務員養成制度の比較、行政実務の分析を通じて、行政の決定の専門的合理性を担保するための視座を検証する必要がある。本書はそのような試みを行ったものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の総括を研究代表者を編者とする『日本型法治主義を超えて―行政の中の法の担い手としての法曹・公務員』(大阪大学出版会、2018年3月発行)として出版公表することができた。本書には、研究代表者による行政の中の法の担い手と法治主義のあり方を問う解題の他、各研究分担者による論考(折登美紀「公的部門の法律専門家の養成と大学教育」、三阪佳弘「近代日本における行政官任用資格試験と法的専門性」、南川和宣「地方公共団体と法科大学院の協働」、田中孝和「イギリス法曹養成における大学・法科大学院の位置付けとその役割」、竹中浩「ロシアの公的部門と法律専門家」、北村和生「フランスの地方公共団体における法律専門家の役割」、佐藤英世「日本の地方公共団体における不服審査体制と法律専門家」、恩地紀代子「ドイツ連邦州の不服審査と法曹」、佐伯彰洋「アメリカの行政不服審査制度」)を収めている。各論考は、2017年2月18日に行った国際シンポジウムにおける報告を基礎にしたものであるが、同書発行に当たって、内容を書き改めて脚注を付し、詳細な資料により論証を強化した。さらに、国際シンポジウムのゲストについても、シンポジウム報告の内容を書き改め脚注を付した論考を収めた(ヤン・ツィーコゥ「ドイツ、フランス、EUの省庁レベルの立法過程における法律専門家の役割」、ガーヴィン・ドゥルーリー「イギリス中央政府における法律専門家」、阪田雅裕「日本の立法過程と法律専門家」、倉田哲郎「日本の地方公共団体における立法過程と法律専門家」、青山竜治「指定都市における法の執行過程と法学既修者」、松浦弘明「豊中市職員に求める法的素養について」)。 以上のように研究成果の公表まで予定通りに進捗したが、成果本を学界関係者等に送付する計画は、同書の刊行が期末間際になり終えることができなかったため、期間延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
成果物の学界関係者等に対する送付について、研究期間延長が認められたため、平成30年度において、成果物の出版元からの購入と送付献呈の作業を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の公表までは予定通りに進捗したが、成果本を学界関係者等に送付する作業は、同書の刊行が期末間際になったために終えることができなかったため、期間延長を申請し、認められた。そのため、期間内に使用するのではなく、次年度に成果本を購入し学界関係者等に送付することにあてることとした。
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