研究課題
サハラ砂漠以南のアフリカでは今も貧困が深刻な問題である。その解決策のひとつとして、付加価値の高い野菜などの園芸産業による雇用創出と外貨獲得が注目されている。とくにケニアとエチオピアはバラを中心とする切花産業の輸出額がそれぞれ世界第5、6 位と発展著しい。そこで、ケニアとエチオピアで数度にわたって独自の現地調査を実施し、この産業の発展に関する貴重なミクロデータを収集し、その発展の仕組みについてさまざまな側面から研究を行っている。まず、インフォーマルな聞き取りを重ねたところでは、産業の発展とともに各農園の販路の開拓が進み、それと関連して経営業績の格差が拡大しつつある。そこで、各農園の生産に関するデータだけでなく、経営者のスキルや販路なども含むユニークなパネルデータを収集し、経営能力と企業の生産性および産業発展の関係について解明をすすめた。これは、経済学の他分野においても注目されている最新のトピックのひとつである。さらに、エチオピアでは教育水準の低い若年層を中心とする非熟練労働に対する雇用創出という観点からも調査研究した。とくに、切花農園に従事する労働者は、教育水準などの人的資本のレベルをコントロールしても、他の産業に従事する労働者に比べて、仕事に対する満足度や賃金の水準が高く、さらに積極的に貯蓄を行っていることが明らかになった。所得が高いのは企業側に離職率を抑えたい狙いがあること、貯蓄率が高いのはワーカー間の交流の密度が高いことが背景にあると考えられる。この論文はアフリカ経済の研究に関する権威ある学術誌であるWorld Developmentにアクセプトされた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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