研究課題/領域番号 |
26301022
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
仙石 愼太郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (00401224)
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研究分担者 |
若林 直樹 京都大学, 経営管理大学院, 教授 (80242155)
Avila Alfonso 京都大学, 物質―細胞統合システム拠点, 特定拠点助教 (10724065)
瓜生原 葉子 同志社大学, 商学部, 准教授 (70611507)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 技術経営学 / 産業組織論 / イノベーション経営論 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、日本のバイオ医薬・医療産業の構造特性とイノベーション創成のメカニズムを包括的・体系的に理解することを目的に、当該バイオテック企業の網羅的プロファイリングと分析、及びそれらを内包する産業生態系の観察と分析を、国際調査比較研究として実施する。地域は、デンマークとフランスの2か国を主対象としつつ、米国の事例も観察する。分野は、医薬品に加え、細胞治療・再生医療に注目する。平成27年度の実績は、下記の通りである。 1.バイオテック企業の経営戦略と価値創造に関する研究:前年度に実施した国内のバイオテック企業の網羅的調査研究に立脚し、イノベーション創成の効果的な類型のひとつとしてスピンオフによるバイオテック企業の設立事例に着目し、デンマーク及びフランスの同様の企業事例との比較研究を計画、着手した。 2.製薬企業の経営戦略と価値創造に関する研究:国内の製薬企業の研究開発生産性に関する実証研究をパイプライン化合物のパネルデータをもとに実施し、研究開発モデルの変革案を提示した。 3.経営環境の調査研究:昨年度に引き続き、神戸バイオクラススターに着目し、2000年からの企業集積の発展について集積企業のデータを集めて分析した。加えて、臓器移植分野における国内外の実施環境の調査研究に着手した。 4.誘導多能性幹細胞(iPS細胞)の技術・イノベーションの系譜:昨年度の研究内容に立脚し、iPS細胞の技術開発とイノベーションの系譜を明らかにするために、複数の文献情報(論文、特許及び臨床試験)と計量書誌学的アプローチ(共語分析、主要パス解析及び直接引用構造分析等)に基づく分析フレームワークを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経営状況調査研究班:昨年度から継続し、日本、フランス、デンマークの3地域において、企業からスピンオフにより設立されたバイオテック企業の経営様式上の特徴と優位性を評価すべく、その経営形態、及びそれらが業績に及ぼす影響要因について、企業サーベイ調査に基づく観察と要因分析を実施している。 経営環境調査研究班:医薬品、細胞治療・再生医療及び臓器移植の各分野について、その代表的企業・機関に対するヒアリング調査を実施し、作業仮説を補完するとともに、その検証に着手した。 サイエンス・リンケージ構造調査研究班:学術及び特許文献を包括した独自の分析用データベースの構築を完了し、その分析に着手した。 研究成果としては、和文論文4報及び国際学会紀要2報を上梓したほか、国内外の学協会等において招待講演を含む学術発表を多数実施した。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に進展していると判断されたことから、当初の実施計画に部分的な修正を加えて本研究課題を遂行する。変更点は下記の通りである: ・分担研究者の追加:臓器移植分野における専門的知見を有する研究者1名を分担研究者として追加し、経営環境調査研究班の活動を強化するとともに、再生・細胞治療分野の研究課題を補完する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者(瓜生原)の研究分担範囲において、既存の調査の分析結果と先行研究調査により、新たな仮説を構築する予定であったが、イギリス,スイスの制度変更などが起こり、さらに探索的調査が必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に、国際学会での情報収集・意見交換、フィードバック内容による精緻化を踏まえて、インタビュー調査を行い、結果を取り纏める。
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