研究課題/領域番号 |
26301024
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
馬場 敏幸 法政大学, 経済学部, 教授 (00359663)
|
研究分担者 |
兼村 智也 松本大学, 総合経営学部, 教授 (70367548)
折橋 伸哉 東北学院大学, 経営学部, 教授 (90364398)
河村 哲二 法政大学, 経済学部, 教授 (20147010)
相澤 龍彦 芝浦工業大学, デザイン工学部, 教授 (10134660)
近藤 章夫 法政大学, 経済学部, 教授 (60425725)
苑 志佳 立正大学, 経済学部, 教授 (00308123)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 経営・技術経営(MOT) / インド:ブラジル:日本:アジア / 部品・金型・裾野産業 / 自動車・家電・ICT産業 / 開発経済学 / 科学技術・政策 / 企業のグローバル展開 / 調達・サプライチェーン・GVC |
研究実績の概要 |
今年度はインド南部自動車集積クラスターの訪問調査を実施した(日系・地場自動車メーカーおよびその部品・金型サプライヤー訪問)。訪問した地場自動車メーカー社はインド自動車産業の萌芽から発展にかけてイギリスから自動車生産ラインを導入し自社生産を開始した企業である。これまでの文献調査でインドのそうしたライン一式の導入による自動車生産開始と金型導入の歴史的事実は把握していた。同社では最近、日本の自動車メーカーからライン一式を導入し、金型を生産設備に付随して導入していた。まさにインドの自動車産業萌芽期の金型導入事例を目の当たりにしたかのごとくであり、非常に興味深い視察を行えた。今回の金型サプライヤー訪問で、地場プラスチック用金型、金属プレス用金型を訪問した。トップクラスのインド金型関連企業は、想像以上に技術力を高めていると判明した。パート技法を用いた生産・納期管理は、日本の一般的金型メーカーより厳密であり、非常に大きなファクトファインディングが得られた。金型教育機関の訪問では欧州の金型関連技術が想定以上に根深く浸透していた。測定や品質管理の標準化、度量衡単位、工作機械選定などに大きく関わっており、インドの欧州傾倒の根深さが明らかとなった。 インド技術の源流の一つである英国自動車メーカー訪問も実施した。英国流生産方式の視察は重要な知見となった。 日本の金型関連企業も訪問した。技術の進歩に柔軟に対応しようとしている企業が多く、日本の競争力維持の可能性からも大きな収穫であった。 これらの訪問調査については、国内で数回、PJ研究会を開催し、プロジェクトメンバー内で意識の共有化と問題点について深く検討を行った。得られた研究成果については国内、国外の学会で積極的に発表を行うとともに研究雑誌などへの投稿も行われた。また書籍『金型産業の技術形成と発展の諸様相 グローバル化と競争の中で』を刊行した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年のブラジルの訪問調査に加え、本年度はインド訪問調査を行った。インド訪問調査では、研究実績の概要に詳述したとおり、インドの南部自動車クラスターにおいて、金型ユーザー、金型サプライヤー、金型教育機関について重要なファクトファインディングが得られた。 実施予定だったブラジル調査は、急速な治安悪化により、進出している日本自動車関連企業の従業員も安全のためブラジル出国をしている状況であり、安全管理上の理由により断念せざるを得なかった。そのため、文献調査、データ収集と定量分析、eメールなどでの情報収集を主体とした。そこから得られた知見については積極的に発表を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
インドについては2016年度に北部自動車クラスター(デリー周辺)の現地調査を計画している。首都デリーでは政府関連機関や業界団体への訪問も計画している。現地の金型関連企業の訪問調査に加え、現行の自動車政策、さらに2017年より実施が見込まれる新自動車政策についても意見交換が出来ればと考えている。 ブラジルについてはサンパウロ州を中心とした金型ユーザー・メーカーの訪問調査は実施できているが、さらに南部の金型クラスターについてはまだ調査が行えていない。治安状況から考えて2016年度の実地調査も困難と思われるが、2017年度には是非とも訪問調査を実現したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、インドおよびブラジルの現地調査を予定していた。ブラジルの治安悪化が一層進み、現地駐在員にも帰国指示がでるほどであり、ブラジル調査は安全性の観点から断念せざるを得なかった。そのため、計画と使用額に異なりが出た。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は夏にインド調査を予定している。参加人数を増やすことにより、より学問的に多角的に現地状況を分析できるように計画を変更した。また積極的に海外での成果発表を行いたく、そのための予算も計上した。
|