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2017 年度 実績報告書

インド・ブラジルの金型産業研究:技術形成・発展段階・競争力・他地域との比較検証

研究課題

研究課題/領域番号 26301024
研究機関法政大学

研究代表者

馬場 敏幸  法政大学, 経済学部, 教授 (00359663)

研究分担者 苑 志佳  立正大学, 経済学部, 教授 (00308123)
相澤 龍彦  芝浦工業大学, デザイン工学部, 教授 (10134660)
河村 哲二  法政大学, 経済学部, 教授 (20147010)
近藤 章夫  法政大学, 比較経済研究所, 教授 (60425725)
兼村 智也  松本大学, 総合経営学部, 教授 (70367548)
折橋 伸哉  東北学院大学, 経営学部, 教授 (90364398)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワード経営・技術経営(MOT) / ブラジル / 金型産業 / 自動車産業 / 開発経済学 / 科学・技術政策 / 企業のグローバル化 / 経済地理
研究実績の概要

今年度はブラジルサンパウロ、ジョインビレ、カシアスドスルを訪問した。ジョインビレとカシアスドスルはこれまでの調査で判明したブラジルの金型クラスターである。
ジョインビレはドイツ系移民による工業都市であり、ブラジル第一の金型集積地である。ブラジル金型工業会もジョインビレに位置する。ジョインビレの金型技術は大手配管メーカーと大手家電メーカーの部品成形およびそれらの成形のための金型作成を核として形成されていった。やがて蓄積された技術をもとにして自動車など他産業向けの金型作成も盛んに行われるようになった。ジョインビレでは金型メーカーおよび中核企業である家電メーカーの金型部門を訪問した。金型はドイツ・マイスター風の金型製作手法がとられ、製作される金型品質はグローバルレベルであった。
カシアスドスルはプラスチック射出成形が盛んなイタリア系の移民都市である。金型製作はイタリアカロッチェリア風の金型手法がとられ、製作される金型品質は高かった。
今年度の訪問により、これまでの企業のグローバル化および企業の成立・調達・技術系製などの経営学的・工学的知見に加え、ブラジル金型産業クラスターの成立という経済地理的観点からも大きな知見が得られた。特に興味深かった点は、金型クラスターごとに異なる形成経緯である。すなわち、コスモポリタン的な形成がなされたサンパウロABC地域は1950年代以降の自動車産業振興に伴って金型クラスターはコスモポリタン的に形成されたが、ジョインビレ地域はドイツ系移民のもちこんだ工業蓄積と共に形成され、カシアスドスル地域はイタリア系移民のもちこんだ工業蓄積と共に形成された。ブラジルの金型産業の形成・発展に「移民」のキーワードが重要であるとの点が明らかになった。これはアジア地域の地場民族による金型産業・クラスター形成とは異なるタイプの金型産業・クラスター形成であり、大きな発見であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでのブラジル訪問で得られた情報に基づき、今年度はさらにブラジル金型産業の主要クラスターを訪問し、各金型企業の成り立ち、技術形成、製作手法、技術レベルなどを確認することが出来、大きな成果が得られた。一方で、インド・ブラジルとの比較で予定していたメキシコ訪問調査は、断念せざるを得なかった。これはメキシコ大地震により治安が悪化し、訪問予定のメーカーでさえもメキシコ訪問を控えるようにとの内部通達が出されていたためである。このためメキシコ訪問調査は中止し、メキシコは統計調査、現地経験者へのインタビュー調査などに切り替えた。メキシコ調査中止決定による予算はブラジル調査に振り替えたが、一部使用しない費用が生じ、これについては翌年度での研究発表のための予算とした。

今後の研究の推進方策

今年度はこれまでに得られた研究成果の社会還元を行う。具体的には、ブラジルで開催される国際学会で、ブラジル金型産業についての発表を行うとともに日本国内で研究会を開催して本科研研究の総括とする予定である。

次年度使用額が生じた理由

メキシコ大地震により治安が悪化し、訪問予定のメーカーでさえもメキシコ訪問を控えるようにとの内部通達が出されていたためである。このためメキシコ訪問調査は中止し、メキシコは統計調査、現地経験者へのインタビュー調査などに切り替えた。海外調査はブラジル調査のみとし、ブラジルの金型産業集積地3箇所を訪問調査した。
今年度はこれまでに得られた研究成果の社会還元を行う。ブラジルで開催される国際学会で、ブラジル金型産業についての発表を行うとともに日本国内で研究会を開催して本科研研究の総括とする。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] IRLE, UC Berleley(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      IRLE, UC Berleley
  • [雑誌論文] ブラジル金型グローバルサプライチェーン構造とブラジル金型の国際競争力2018

    • 著者名/発表者名
      馬場敏幸
    • 雑誌名

      型技術

      巻: 33-3 ページ: 78-79

  • [雑誌論文] 1ビッグ4に争いつ3挑むトヨタ・ヒュンダイの奮闘:ブラジル自動車産業2018

    • 著者名/発表者名
      馬場敏幸
    • 雑誌名

      型技術

      巻: 33-1 ページ: 82-83

  • [雑誌論文] ブラジルの金型産業報告書2018

    • 著者名/発表者名
      横田悦二郎
    • 雑誌名

      法政大学 比較経済研究所 ワーキングペーパー

      巻: 209 ページ: 1-16

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ブラジルの金型産業調査報告 現在と未来のブラジル金型工業の評価2018

    • 著者名/発表者名
      川邊安彦
    • 雑誌名

      法政大学 比較経済研究所 ワーキングペーパー

      巻: 210 ページ: 1-7

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Restarting of an automobile industry in East African Countries: Conditions to invite foreign OEM and case studies in Kenya, Tanzania and Uganda2017

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki BABA
    • 雑誌名

      Conference Paper, 25th International Colloquium of Gerpisa

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The transition of Mexico’s automobile industry from its birth to 2016: The past and the future in view of the new Trump administration in the United States2017

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiko KAWABE and Toshiyuki BABA
    • 雑誌名

      Conference Paper, 25th International Colloquium of Gerpisa

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 1980年代のケニアが夢見たアフリカ初オリジナル国産車:Nyayoプロジェクト2017

    • 著者名/発表者名
      馬場敏幸
    • 雑誌名

      型技術

      巻: 32-11 ページ: 74-75

  • [雑誌論文] 家電OEM的発想による自動車生産、自由化による失速を越えて:ケニア2017

    • 著者名/発表者名
      馬場敏幸
    • 雑誌名

      型技術

      巻: 32-9 ページ: 80-81

  • [雑誌論文] 目立ちはじめたケニア自動車市場、進展する「東アフリカ型モータリゼーション」2017

    • 著者名/発表者名
      馬場敏幸
    • 雑誌名

      型技術

      巻: 32-7 ページ: 126-127

  • [雑誌論文] 大転換したインド自動車産業政策:内向きの中央集権規制型キャッチアップ志向から外向きの自由市場型グローバルリーダー志向へ2017

    • 著者名/発表者名
      馬場敏幸
    • 雑誌名

      型技術

      巻: 32-5 ページ: 90-91

  • [学会発表] Reconsidering of the Brazilian Technological Capacity: A case study of special tools essential for mass productions2017

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki BABA
    • 学会等名
      IRLE Visitors Workshop
    • 国際学会
  • [学会発表] Restarting of an automobile industry in East African Countries: Conditions to invite foreign OEM and case studies in Kenya, Tanzania and Uganda2017

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki BABA
    • 学会等名
      GERPISA
    • 国際学会
  • [学会発表] The transition of Mexico’s automobile industry from its birth to 2016: The past and the future in view of the new Trump administration in the United States2017

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiko KAWABE and Toshiyuki BABA
    • 学会等名
      GERPISA

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-28  

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