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2016 年度 実績報告書

互助組織の社会経済的機能の変遷と現代的役割に関する比較社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26301028
研究機関福岡大学

研究代表者

辰己 佳寿子  福岡大学, 経済学部, 教授 (80379924)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード互助組織 / 村落社会 / 生活改善 / 集落 / 過疎化 / 復興 / ネパール / 山口県
研究実績の概要

国内外の資料収集・文献研究と研究会での議論を継続的に実施しながら、3年目は以下の調査を行った。
国内調査:山口県の3地点(①周南市鹿野、②阿武町、③長門市俵山)での調査がほぼ完了しつつある。①の地域では、現地での意見交換会や調査はもとより、第2回地域社会の未来を考える研究会を開催し、報告書および映像を制作した。この調査結果をもとに、カフェ開店準備などの新しい活動が始まった。②の地域では、漁業集落の互助組織の新しい展開を「暮らしのなかで育まれた漁村コミュニティのエンパワーメント」と題して論文にまとめ、農業集落においては農地管理等の互助関係に関する調査結果を地元の集会にて発表し意見交換を行った。③の地域では、10年間続いてきた「俵山を歩いて暮らしの伝承を学ぶ」という講座の終了を踏まえ、これまでのこの地域での活動や調査結果を冊子としてまとめる方向で原稿執筆が進んでいる。国内の他地域の調査(九州・東北)では、佐賀県の祭りの互助関係と宮城県の講組織の互助関係について聞き取り調査を行った。
海外調査:ネパールでは、平成27年に起きた大地震の影響をうけて、質問紙調査から聞き取り調査や少人数ワークショップに調査手法を切り替えて情報収集を行った。復興であるがゆえの互助関係や新ビジネス参入における対立関係が生まれていることなどが看取できた。ネパール周辺国での調査対象地域としては、北インドのラダックに加えて南インドのマイソールが浮上しつつある。同質的な山岳地域での比較を検討していたが、異なる条件をもつ地域を比較対象のひとつとして加えた方が本研究が目指すところの比較社会学的研究の意義が大きいということが判明したからである。それぞれの具体的な調査は次年度へ繰り越すこととなったが、海外調査の比較研究の視座が明確になった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成27年の4月と5月の起きたネパール大地震の影響でネパール国内での調査手法を変更したことから予定よりも時間を要しており、ネパール周辺国の視察が計画どおりに進んでいない。

今後の研究の推進方策

国内の調査研究は順調に進んでおり、29年度の前半には成果物を完成させる予定である。後半からは、在外研究という環境に身を置くことができるため、この利点を生かし、ネパール国内の調査結果を公表することと周辺国の調査対象地域を決定し本調査を実施することなど、海外調査に重点を置く予定である。

次年度使用額が生じた理由

海外調査の計画が変更になったためである。ネパールでの調査に時間を要していることもあって、その周辺国のチベットやブータンでの視察準備が間に合わなかった。チベットに関しては、標高が高いため渡航できる時期が限られているだけでなくビザの申請等で時間がかかるにもかかわらず、学内業務等の関係で渡航時期を早期に決定することが難しく渡航のタイミングを逃してしまった。ブータンへの視察は夏に実施する予定であったが、平成28年の6~8月は日本親善オファーで日本人を対象に公定料金を廃止した割引が実施されたため予約が殺到し渡航を見合わせることとなった。その結果、移動が容易な南インドへの視察へ切り替えたため、予定よりも少ない予算の支出となった。

次年度使用額の使用計画

平成29年度は後期から在外研究という環境に身をおくことができるため、この利点を生かしてネパールの周辺国への視察および調査を実施する予定である。ネパールの首都カトマンズを拠点に、ブータン・チベット・インドに赴く調査計画を立てており、これらの時間も予算も十分に確保できている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] カトマンズ大学/トリブバン大学/LACCoS(NGO)(ネパール)

    • 国名
      ネパール
    • 外国機関名
      カトマンズ大学/トリブバン大学/LACCoS(NGO)
    • 他の機関数
      3
  • [国際共同研究] マイソール大学/デリー大学(インド)

    • 国名
      インド
    • 外国機関名
      マイソール大学/デリー大学
  • [雑誌論文] 地域社会に宿る共育力-何にも教えないことから始まる-2017

    • 著者名/発表者名
      辰己佳寿子・木佐方徳
    • 雑誌名

      地域共生研究

      巻: 第5号 ページ: 15-36

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 暮らしのなかで育まれた漁村コミュニティのエンパワーメント-山口県の小さな集落の挑戦-2016

    • 著者名/発表者名
      辰己佳寿子
    • 雑誌名

      地域漁業研究

      巻: 第56巻第3号 ページ: 85-103

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 地域社会の共育力2017

    • 著者名/発表者名
      辰己佳寿子
    • 学会等名
      第2回地域社会の未来を考える研究会
    • 発表場所
      福岡大学
    • 年月日
      2017-01-28
  • [学会発表] ネパールにおけるコミュニティ・ベースの災害復興2016

    • 著者名/発表者名
      辰己佳寿子
    • 学会等名
      長門市地域防災活動支援員養成講座
    • 発表場所
      長門市役所
    • 年月日
      2016-09-24
    • 招待講演
  • [図書] 地域社会の未来を考える研究会 2016年度報告書2017

    • 著者名/発表者名
      辰己佳寿子
    • 総ページ数
      142
    • 出版者
      -

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公開日: 2018-01-16  

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