研究課題/領域番号 |
26301032
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
榊原 洋一 お茶の水女子大学, その他部局等, 理事・副学長 (10143463)
|
研究分担者 |
瀬尾 知子 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (00726309)
菅原 ますみ お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (20211302)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 自尊感情 / 国際比較 / QOL / アジア / 幼児 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、最終年度にあたり、アジア4カ国(日本、タイ、ベトナム、バングラデシュ)で実施した追跡調査2回目(7歳児)の質問紙調査と、面談による自己認知(自尊感情)調査(Harter Pictorial Scale))のデータ集積と、データ入力、入力データのクリーニングを行った。日本でのデータ入力、クリーニングが先行して終了したため、日本のデータの一部を解析し、日本子ども学会において「幼保小接続期における幼児の自尊感情の変化」および「子どもの不注意・多動行動はQOLを低下させる」の2つのポスター発表を行った。さらに、3カ国(バングラデシュを除く)での自尊感情面接調査のデータを解析し、論文「アジアにおける子どもの自尊感情の国際比較」として、日本子ども学会学会誌であるチャイルドサイエンスに投稿し、修正の上掲載されることが決まった。 前2者(ポスター)では親評定と子ども自身による評定の間に相関がないことや、不注意が子どもの自尊感情を下げることが明らかになった。また後者(論文)では、日本の子どもの自尊感情が従来いわれているように世界で最も低い、という知見に反する結果(タイが最も低い)が得られた。 データ入力が未完であるために、研究期間を1年延長し、データ解析とその論文化を行ってゆく予定であるが、子どもの自尊感情とQOLに影響を及ぼす複数の因子の解明と、因子間の関連の国際比較について多くの所見が得られることが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、アジア4カ国における幼児の自尊感情と、それに影響を与える多様な因子を5歳、7歳の2回にわたって追跡する縦断調査である。1回目(5歳)の調査は順調に進行したが、同じ対象児を7歳で再調査するために、特に日本以外の3カ国で時間がかかり、2回目調査の実施が最終年度に行われた。データの入力と、そのクリーニング、解析には多くの時間を要するために、最終年度内に全てのデータの解析まで行うことができなかった。「おおむね順調に進展している」と判定した理由は、調査は全て計画通りに行われ、データクリーニングとその解析を残すまでになったためである。研究期間の1年延長を申請し、データ解析を続ける予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
子どもの自尊感情を決定する要因分析を行い、健全な自尊感情を育成するために有用な幼児教育方法や、家庭でのしつけなどについての提言に結びつけたい。また国際比較の結果から、幼児教育や育児に関する日本独自の課題や強みを明らかにしてゆきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外からのデータ到着が遅れているため、データ入力委託費が繰越となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
データ入力委託費用
|