研究実績の概要 |
本研究は、子どもの自尊感情の発達とそれに影響を与える様々な因子に関する国際比較研究である。子どもの発達の心理的な原動力の一つである日本の子どもの自尊感情は、国際的に見て低いとされているために、その向上のために自尊感情発達に係る因子を解明することは、教育上重要である。これまでの子どもの自尊感情の国際比較は、欧米の数カ国との比較であったために、歴史文化的により近接するアジアの国との比較を企画し、タイ、ベトナム、バングラデシュの研究協力者との連携のもと、5歳児と7歳児を対象とした縦断的研究を開始した。 初年度(平成26年度)は、研究協力者の選定、調査地域の選定と、調査項目の選定を行った。調査項目は、対照児童の属性、子どもの生活習慣(睡眠、テレビ視聴)、子どものQOL,行動特性、親の属性(教育年限、年収、雇用)、子育てスタイル、親のQOLなどに加えて子どもに直接面接して自己申告で自尊感情を評定するHarterの自己認知尺度を援用した。初年度は4カ国で5歳児を対象として第一波の質問紙調査(+面接によるHarter尺度による評定)を行った。次年度以降4カ国から回収した質問紙データのSPSSへの入力と、データクリーニングを行ってきた。 平成29年度は、ベトナムからのデータの入力とクリーニングをおこなった。またすでに入力済みの一波、二波のデータの合体が終わっている日本の縦断データの解析を行い、その一部を学会発表した(日本子ども学会、岡山)。さらに、一波調査の3カ国合体データセットの解析を行い、学術雑誌(チャイルドサイエンス)に投稿し、受理発刊されている。3カ国全体の一波、二波調査データの合体作業もほぼ完了し、その解析結果を順次学会発表ならびに学術雑誌での刊行を行ってゆく予定である。
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