最終年度では,3年間に渡り収集した全国研修会参加者を契機にして発展したSNS内交流データの相互比較, SNS内既有コミュニティーとの関係の分析,教育でのSNS活用の可能性についての考察,および成果の公開,教育省のオンライン情報公開戦略提案について研究が行われた。注目すべき成果として,研修会参加者へのオンライン情報の周知方法により,オンライン交流,オンラインコミュニティーの形成に差異が生じたこと,公式文書等の目につきやすい所の記載による周知よりも,講師からの直接の呼びかけの方が高いSNS参加率,活動度を得たことがある。一方,ソーシャルグループグラフ分析により,SNS内から参加教員が関係する30のコミュニティーを抽出できた。さらに,データ解析を進めることによりその中から教育について意見交換している18のコミュニティーを同定した。各コミュニティー分析から産業や他公的機関のメンバーを含んだ,社会的コンテキストが重要となる紐帯の重要性が判明した。そのため情報の伝達機能に加えて,情報の文脈化,交流の社会的側面への配慮について考察した。そして対象コミュニティーの特性を踏まえた,運営組織や可能な媒介者の準備の必要性を明らかにした。そこでは先行知見で知られている5種の媒介者の類型のうち3種を活用可能な手段として選定し,中央研修会内容の地域教員コミュニティーでの重要度を改善のための3つの具体策を提案した。一方知見を参考にして,地域教員のオンライン交流を振興する教育省のウェブサイトの機能・構成・運営についても提案した。一方,これら国際共同研究で得られた知見を国際会議や海外学術雑誌で公開した。
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