研究課題/領域番号 |
26301041
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研究機関 | 環太平洋大学 |
研究代表者 |
堀内 孜 環太平洋大学, 教育学部, 教授 (40115978)
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研究分担者 |
高瀬 淳 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00274035)
服部 憲児 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10274135)
金川 舞貴子 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (40452601)
竺沙 知章 京都教育大学, その他の研究科, 教授 (60243341)
藤村 祐子 滋賀大学, 教育学部, 講師 (80634609)
榊原 禎宏 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90215616)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教員養成 / 教員養成学部後課程 / 理論と実践・専門性 / 国際比較 / 教員養成の高度化 / 教職課程カリキュラム |
研究実績の概要 |
本年度は、当初の研究計画に従って以下の研究を実施した。①.研究メンバー間における現在の教員養成改革に関する認識の共有化、②対象9国の教育制度、教員養成制度の概要・特徴の共通インデックスによる整理、③設定共通項目に基づく9国-10地域(アメリカ:カリフォルニア州・ミネソタ州、イギリスーイングランド、フランス、ドイツ、フィンランド、ラトビア、ロシア、韓国、タイ)の現地調査。調査事項はa.教育行政制度、学校制度、教員制度の概要特徴、b.教員養成制度の概要・特徴、c.調査大学・機関の概要・特徴、d.学部・大学院における教職課程の枠組みと特徴。 現地調査結果について、以下の5点を中心に、比較検討した。①教職課程、教員免許制度の基本、枠組とその法制度、「専門職基準」との関わり、②教職課程カリキュラムの学部課程と学部後課程の接続関係、③学部後課程カリキュラムの特徴、特質ー理論性と実践性・専門性を軸に、④教育実習・インターンシップの在り方、特徴、⑤日本の教員養成改革動向への示唆。 本年度の調査、研究から得られた知見として、下記の5点を提示できる。①連邦制国家内の各連邦相互だけでなく、1国内においても複数ー多様な教員養成制度(コース、プログラム等)が存在する国がある。②大学の教職課程が専門職基準に基づいて編成されている場合と大学に任されている場合、そして何らかの国家基準・行政基準に基づくものがある。③ボローニャ・プロセスによる高等教育の標準化が進められているEU諸国ではフィンランドを典型に学部課程と学部後課程の結合が認められる。④フィンランドの「3+2課程」やタイの5年学部課程を除いて、教員養成、学校教育にかかわる大学院在籍者は現職教員が基本である。⑤大学院課程では、教職の専門にかかわる理論修得が基本とされ、修士論文が重視されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体として、9国で共通のインデックスに基づく調査を実施し、当初予定の実態把握を行うことが出来た。だが調査対象機関の情報整理状況等によって、一部の国で、一部の共通項目の情報が入手できなかった。この点については、調査2年次(2015)も1年次と同様に9国の現地調査を予定していることから、補填できる見通しである。 本研究の目的として、学部後教員養成カリキュラムを①免許、資格との関係、②学部課程との接続関係、③カリキュラム内容の学術性と実践性の関係、④教育実習、インターンシップの機関、時期、内容、から比較することを提示しているが、1年次調査によって、9国の基本的な制度実態の把握、資料入手を行うことができた。 だが第4点の教育実習、インターンシップについては、実際の実習機関における指導内容、指導実態の把握ができていないことから、2年次調査として実習機関における実地調査を共通に設定している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の第2年次(2015年度)は、第1年次調査研究の成果を踏まえて、基本的には当初設定の計画通りに実施する。 具体的には上欄に示した4点について、1年次調査の成果から整理した観点、論点から関係者への面談調査によって掘り下げること、併せて1年次調査において実施していない④の教育実習、インターンシップの実施機関における参与観察調査、面談調査、資料収集を現地調査の中心に位置づけて実施する。この点は、現時点まで、日本における「教員養成高度化改革」の焦点が学部後1年間の教育実習・インターンシップにおかれていることから、学部課程カリキュラムとの接続関係、実施機関、時期、期間、カリキュラムー指導内容・方法、指導体制、大学との連携体制等の解明を通して、その効果、意味、意義について「費用対効果」「労力対効果」も含めて検討する。 ただ本研究がその経費のほとんどを外国調査に充てられることから、現在に至る「円安」が調査実施の実際に大きな制約となっており、また2年次経費が1年次に比して約2割減とされていることから、大学院、学部後課程における教育実習等の実態のない国(韓国、ロシア)については、現地調査の割愛、部分実施も検討する。
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