研究課題/領域番号 |
26301041
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
堀内 孜 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (40115978)
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研究分担者 |
竺沙 知章 京都教育大学, その他の研究科, 教授 (60243341)
藤村 祐子 滋賀大学, 教育学部, 講師 (80634609)
金川 舞貴子 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (40452601)
服部 憲児 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10274135)
榊原 禎宏 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90215616)
高瀬 淳 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00274035)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教員養成 / 教員養成学部後課程 / 理論と実践・専門性 / 国際比較 / 教員養成の高度化 / 教職課程カリキュラム |
研究実績の概要 |
本年度は、調査研究対象の9ヵ国、10地域における現地調査を中心に、以下の研究を実施し、所期の成果を収めた。 1.大学院等、学部後課程における教育実習、インターンシップ(以下、実習)のシステム、運営実態、関係者の評価に関する実地調査。2.上記1の実地調査に合わせて、昨年度調査の補充調査ー教員養成の法的枠組み、教員資格獲得のキャリアパス、専門職基準の有無・概要等、3.日本における教員養成改革動向の把握、分析と本研究課題の再設定ー2015.12.中教審答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」における教職カリキュラムの区分見直し、学校インターンシップの導入、教員育成指標の設定、養成課程教員の在り方、大学院での教員養成の統合等の課題の本研究での位置づけ。 上記の調査研究によって、以下の知見を得ることができた。1.大学院、学部後課程においても実習が設定、必修化されている国が多いが、院生のほとんどが現職教員であることから、その実施、運営は弾力的になされている。2.ほとんど全ての研究対象国において、実習が重要視され、その期間の長さについてだけでなく、緻密な運営体制の構築が認められる。3.行政機関の法規や大学の内部制度等、多様ではあるが、実習の運営(期間、授業時数、配置人数、指導教員資格等)に関する取り決めがなされている国が多い。4.大学の実習運営体制(指導教員のキャリア・配置、大学内・実習校での指導体制等)が整備され、「大学の責任」において実習がなされている。5.実習校における指導教員、メンター教員の「任用資格」や研修が明確にされている国が多い。6.実習校への配置人数、期間等にもよるが、院生、学生の実習が実習校の教育力を向上するものとみなされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究第2年次の本年度は、第1年次調査で明らかにした大学院等学部後課程を中心とする教員養成制度の理解を踏まえて、その運営実施に関する制度と実態、とりわけ教育実習・インターンシップを焦点とする実態調査を行った。本年度の現地調査においては、全ての対象国においてではないが、教育実習等の参与観察調査や実習生、学校の児童生徒へのインタヴュー調査を行うことが出来、ほぼ当初設定通りに進捗した。 また第1年次調査による9ヵ国、10地域の制度概要について、その把握が不十分であった点の補充調査も合わせて行った。そして設定した調査研究の範囲内においてではあるが、そこで得られる知見を新たな枠組みで捉え直すことの必要性と可能性を見出すこととなった。 それはこの1年間の中で、日本においては教員養成改革に関する中教審答申が出され、その内容、方向性と本研究の機軸との関係を検討し、本研究の課題を再定立したことである。本答申が提起した課題において、教育実習、インターンシップの改革、「教員育成指標」と「教育専門職基準」の異同、関係、教職課程科目の枠組み、教員養成大学教員のキャリア、専門性など、本研究が対象とする国々で一定の「解答」が見出されるものも多くあり、それらが教員養成制度全般、学部課程を中心とするものであっても、本研究で有益な知見を提示できるものと思われる。 このように本年度研究は、本研究の計画設定に沿う形で概ね進捗してきたが、昨年度調査によって本年殿調査対象とする大学院等学部後課程における教育実習・インターンシップの制度実態を持たない国(ロシア、韓国)の存在が判明し、調査計画の修正を図った。この2国については現地調査としては補充調査のみを行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度、2016年度は、本研究の最終年度となるので、これまで2年間の調査研究を整理、集約し、当初に予定した成果を提起することを課題とし、それに向けた以下の4点の推進方策を実施する。 1.教員養成、とりわけ大学院等学部後課程における教員養成の制度とその運営について 9ヵ国共通のインデックスで把握する内容の過不足を整理する。 2.これまでの2年間の現地調査で得られた知見を整理して、日本の実態、問題から特に 留意すべき点(例えば、教員養成制度運営における大学、学校、教育行政機関間の権 限、責任、所掌関係)を中心に補充調査を行う。 3.日本の教員養成改革において論議、提起されている「教職課程科目の枠組み」「学校 インターンシップの導入と教育実習の整理」、「教職課程担当教員の力量、専門性」等 に関する論点、課題を整理し、本研究で得られる知見からそれらの枠組み、方向性を提 起する。 4.本研究が、現在の日本の教育政策課題の解決と関わっていることも踏まえて、本研究 で得られた知見の提示と今後における日本の教員養成改革への援用を提案すべく、研究 成果について学会発表(日本教育行政学会、2016年10月)を行い、報告書を刊行 する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者の京都教育大学、竺沙智章教授が当初予定の外国出張の日数を減じたことによって生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
竺沙教授の平成28年度研究において、研究成果の取りまとめのための国内旅費として使用する。
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