研究課題
本年度は、本研究の最終年度として次の調査研究を行った。 1.過去2年間の「補充調査」-確認等が必要な重要事項に関する合衆国(ミネソタ州)、フィンランド、タイ3ヵ国の現地調査。2.中間的なまとめをもっての学会発表(第51回日本教育行政学会大会)。3.各国の調査知見を集約する研究協議。4.研究報告書の作成、刊行。報告書作成に向けての協議において、集中的に検討したのは次の4点である。 1.学部課程と学部後課程のカリキュラムの接続関係、2.「理論と実践の融合、往還」の課題性、実態、3.教員養成を担当する大学等の教員の専門性、キャリア、4.教育実習運営の制度と運営システム。また日本の教員養成改革が、2015年12月の中教審答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学びあい、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~」の示す方向で展開され始めたことから、本調査研究で得られた知見をもっての批判的な検討を行った。その結果は以下の5点として提示できる。 1.調査国のインターンシップはタイの5年次1年間インターンシップが好例であるように、実習校にとって実習生が「戦力」になることで成功している。日本で学部1年次からの「短期」のボランティアはこの点で問題である。2.多くの国で、教員養成を担う大学教員が教員資格・免許を持って現場経験を積み、その上で博士号の取得等のアカデミックなキャリアをもっている。このことで実質的に「理論と実践の融合」が保証されており、長短期的な方策が求められている。3.教員養成の質的保証は多くの国で「専門職基準」をもってなされており、都道府県毎の「教員育成指標」に委ねることは全国的な教員養成の質的保証に背馳することが危惧される。以上のように、本研究は現下の日本の教員養成改革に多くの示唆を与えるものとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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筑波大学学校教育学会学会誌
巻: 14 ページ: 1-11
日本教育経営学会紀要
巻: 58 ページ: 164-174
学校経営研究
巻: 41 ページ: 26-32