研究課題/領域番号 |
26302003
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 光廣 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (90183889)
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研究分担者 |
中 竜大 名古屋大学, 高等研究院, 助教 (00608888)
佐藤 修 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (20377964)
中野 敏行 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (50345849)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 暗黒物質 / 原子核乾板 |
研究実績の概要 |
超高解像度の原子核乾板を用いて、宇宙の暗黒物質の衝突によって生じる~100nm 長の反跳原子の飛跡をとらえ、暗黒物質の存在を直接検証する実験を推進している。本研究は二本柱であり、①超微粒子乾板で10g 級の暗黒物質検出のテスト実験を行い大規模化への道を開く事と、②グランサッソー地下での中性子の季節変動の有無に結論を出し、最大のBGである中性子の振る舞いを理解することである。 今年度は①のために、乳剤の感度調整の研究、数値計算による超微粒子乾板中での反跳原子の振る舞いの理解の為の研究、原子核乾板が持っている固有の放射性不純物の評価、低雑音現像の開発、局在プラズモン共鳴を用いたナノ銀粒子の形状認識の研究などを平衡して行なった。10g実験のためのBGレベルにほぼ到達、検出効率の実験による測定と数値計算による理解が進み、今秋に実験の提案書をグランサッソー研究所に提出することになった。 ②のために、反跳陽子に感度を持つが、γ線やコンプトン電子などには感度をもたない中性子測定用乳剤を開発した。また記録された反跳陽子の飛跡の保持特性をハロゲンアクセプター増感を行う事で改善し、三ヶ月程度にわたる照射に問題の無い状態にすることが出来ている。また読み出すための超高速飛跡読取装置HTSの毎時0.5㎡での稼働を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳剤開発、読み出しともに順調に準備が出来ている
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今後の研究の推進方策 |
実験提案書をグランサッソー地下研究所に提出するとともに、OPERAで使用している地下での塗布、現像設備の専有化をすすめ、本実験の乳剤に適した施設として改良してゆく。中性子測定に関してはまず地上で100g程度の乳剤を用いて一月程度の暴露実験を行なう。また原子核乾板の潜像退行特性を見極め、地下で10kg級の乳剤を用いて半年程度の照射を二回行ない、季節変動の有無を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
施設を共有するOPERA実験の検出器解体が始まり、欧州側の受け入れ体制の関係で、原子核乳剤の輸送ほかに遅れが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
夏までに旅費。輸送費用として使用する予定。
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