研究課題/領域番号 |
26302009
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
角替 敏昭 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50252888)
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研究分担者 |
堤 之恭 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (00370990)
M. SANTOSH 高知大学, 名誉教授 (20333453)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ゴンドワナ大陸 / 大陸衝突帯 / 変成作用 / 地質年代 |
研究実績の概要 |
平成26年度は実施計画に基づき、12月20日~1月1日に南インド・ケララ州のワイナード周辺の地質調査を行い、メルカラおよびモヤー縫合帯に産出する海洋プレート起源の岩石を約80個採集した(角替、サントシュが参加)。また、1月10日~18日にスリランカ南西部のハイランドおよびビジャヤン岩体の地質調査を行い、堆積岩起源の岩石約40個を採集した(角替、サントシュが参加)。帰国後に岩石処理を開始し、年度内に約30枚の岩石薄片を作成した。また、スリランカの4つの岩石の全岩化学分析を行い、そのうちの1個についてシュードセクション法による岩石相解析を行い、岩石の形成条件を決定した。
年度当初の7月~11月は、既に採集済みのインドおよびスリランカの岩石について、岩石薄片の作成、鉱物化学分析、シュードセクション法による形成温度圧力の解析(以上、担当は角替)、ジルコンを用いた岩石形成年代の決定(担当:堤)、論文の執筆活動(担当:角替、サントシュ、堤)を行った。また。インド周辺のゴンドワナ大陸形成時の類似した岩石として、南極の岩石も研究対象とした。また、太古代の原岩推定のために比較材料として、南部アフリカ・リンポポ岩体と北中国ブロックの岩石の処理と年代測定も並行して行った。今年度の研究により、スリランカと南極から約10億年前の火成作用、南極から25億年前の火成作用の証拠を確認し、今後の更なる広域的な比較により、ゴンドワナ大陸内部の対比と太古代大陸の復元を行う予定である。
研究成果として、8件の国際学会研究発表、5件の国内学会研究発表、9編の国際誌論文があり、現在さらに3編の論文が投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りインドとスリランカの地質調査を実施し、岩石試料を採集した。ただし、予算削減のために大学院生を調査に連れていくことができず、十分な研究指導ができなかったのが残念である。 研究成果については、国際大陸ダイナミクス学会および国際ゴンドワナ研究連合年会(中国)に参加し、インド、スリランカ、南極の研究成果に関する8件の国際学会研究発表(口頭およびポスター発表)を行った。また日本地球惑星科学連合年会と極域地学シンポジウムにおいて、南極やインドの研究成果に関する5件の国内学会研究発表を行った。さらに、著名な国際雑誌に大陸衝突帯に関する9編の論文(インド4、中国2、南アフリカ2、スリランカ1)が印刷または受理された。現在、3編の論文が投稿中である。学会発表のほとんどは学部生および大学院生による研究成果であり、金銭的なサポートが全くはない中で、積極的に学会に参加してくれた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き計画通りに地質調査と室内作業を続ける予定である。特に平成26年度に確認された11億年前と25億年前のマグマ活動に注目し、この証拠がみられる地域の広域的な分布を確認する。さらに、珪岩などの堆積岩の年代にも注目し、珪岩中のジルコンの年代分析を精力的に行って、年代の広域的な比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内にインド産岩石の全岩化学組成の依頼分析を行う予定であったが、その前処理作業段階で新たな発見があり、その確認作業に時間がかかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の5月頃までにその確認作業を終了して依頼分析を行う岩石を決定し、6月以降に分析を行う予定である。そのための経費として、昨年度からの繰り越し額を使用する。
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