研究課題/領域番号 |
26303001
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
関口 和彦 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50312921)
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研究分担者 |
藤谷 雄二 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (20391154)
熊谷 貴美代 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 独立研究員 (50391826)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超微小粒子(PM0.1) / 微小粒子(PM2.5) / 慣性フィルターサンプラー / アーティファクト / フィールド観測 / バイオマス燃焼 / 粒子組成 / 有機マーカー |
研究実績の概要 |
実施した研究概要 本年度は、海外に運搬できる可搬型の大気中超微小粒子(PM0.1)分級捕集装置である慣性フィルターサンプラーに対して、PM0.1捕集時の人為的誤差(アーティファクト)の評価に加え、次年度、同サンプラーならびに微小粒子(PM2.5)サンプラーを設置してフィールド観測を行う海外拠点の確立と、現地におけるプレ観測を実施した。
得られた成果 慣性フィルターサンプラーのアーティファクト評価においては、石英繊維フィルター上にPM0.1を捕集した場合には正のアーティファクトが観測され、30%程度のガス吸着影響があった。この時、炭素成分では揮発性の高い有機炭素成分が、また、イオン成分では硝酸イオンと、アンモニウムイオンが大きく寄与していた。これらアーティファクトの割合は従来のサンプラーと同程度であり、高流速による分捕集でも十分フィールド観測に使用できることが明らかとなった。一方、テフロンフィルター上にPM0.1を捕集した場合には負のアーティファクトが観測され、PM0.1の捕集効率低下(フィルター通過)が確認されたが、フィルターを多段で用いることでこのアーティファクトが回避できることが示された。 次年度に本格実施する海外フィールド観測のための海外拠点の確立については、チェンマイ大学(タイ)とハノイ工科大学(ベトナム)に観測サイトを実施し、現地スタッフとも密接な関係を築くことができた。2015年2月と3月にチェンマイ大学ならびにハノイ工科大学で現地スタッフ協力のもとプレ観測を実施した。大気捕集サンプルについては、現在成分分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画では、PM0.1の分級捕集装置である慣性フィルターサンプラーのアーティファクト評価ならびに次年度本格実施する海外フィールド観測のための海外拠点の確立とプレ観測の実施となっており、概ねその通り遂行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は当初の計画通り、平成26年度に実施したプレ観測の成分分析、画像解析を進めるとともに、現地での大気フィールド観測をハノイ(6-7月、2-3月)、チャンマイ(2-3月)に実施する。ハノイでは、雨季と乾季の成分濃度比較、2-3月は異なる地域でのバイオマス燃焼の成分影響を調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外観測の準備のための海外渡航は予定通りH26年度末の2月、3月に実施したが、その際捕集したサンプルの分析は年度をまたいで、H27年度に継続して実施する予定である。そのため、分析を依頼する研究分担者のH26年度予算の一部を平成27年度に繰り越す。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者の研究機関において研究成果発表や情報収集のための旅費、または、研究代表者から依頼する捕集サンプルの分析費用として使用する。
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