研究課題/領域番号 |
26303001
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
関口 和彦 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50312921)
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研究分担者 |
藤谷 雄二 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (20391154)
熊谷 貴美代 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 独立研究員 (50391826)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超微小粒子(PM0.1) / 微小粒子(PM2.5) / 慣性フィルターサンプラー / アーティファクト / フィールド観測 / バイオマス燃焼 / 粒子組成 / 有機マーカー |
研究実績の概要 |
実施した研究概要 本年度は、前年のベトナムハノイにおけるプレ観測試料に対して成分分析、画像解析を実施し、観測サイトの優位性を評価した。その上で、ベトナムハノイとタイチェンマイにおける観測時期を2国間の比較に必要な時期として決定し、両国における本フィールド観測を実施した。
得られた成果 ハノイ工科大学において採取したPM2.5およびPM0.1試料について、イオン成分および炭素成分分析を行った結果、ハノイのPM2.5、PM0.1中の有機炭素(OC)および元素状炭素(EC)は、国内さいたま市よりも高濃度であり、全炭素(OC+EC)に占めるECの割合が大きいことが明らかとなった。またPM2.5とPM0.1で炭素フラクション組成にも違いが見られ、様々な発生源が関与している可能性が示唆され、成分組成を評価する観測サイトとしては適切であることが示唆された。一方で、PM0.1捕集試料に対する透過型電子顕微鏡による画像解析を実施したところ、凝集体の混合割合および凝集体を構成する一次粒子径は日本の交差点で捕集した粒子よりも小さいことが明らかとなった。これら結果を踏まえ、自動車やバイクの排ガス影響、バイオマス燃焼影響、季節影響を調査すべく、ベトナムハノイ、タイチェンマイにおける観測時期と比較内容を以下のように決定し、両国における本フィールド観測を実施した(一部は平成28年度に実施)。 ・ハノイ(H27年7月、H28年3月)雨季乾季比較/・ハノイ、チャンマイ(H28年3月)同時観測(二国間比較)/・チャンマイ(H28年3月)、ハノイ(H28年9月)バイオマス燃焼影響比較
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画では、前年のベトナムハノイにおけるプレ観測試料に対する成分分析、画像解析の実施、さらに、ベトナムハノイ、タイチェンマイにおける観測時期の決定と、両国における本フィールド観測の実施となっており、概ねその通り遂行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は当初の計画通り、本年度に実施した本フィールド観測の成分分析、画像診断を進めるとともに、有機マーカーを用いた比較や多変量解析の1つであるPMF解析を適用することを検討し、現地大気汚染の発生源について評価する。その際、バイオマス燃焼のPM0.1、PM2.5 への寄与についても粒子生成、粒子成長の観点から詳細に言及する。最終的には、これら結果を報告書として取りまとめるととともに、今後継続的な大気観測を現地で実施するための国際モニタリングネットワークの拡充に向けた話し合いを、国際シンポジウム形式でベトナムハノイにおいて開催する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年目(H27年度)に行った本フィールド観測が天候や発生源影響により年度末に集中したことから、継続的に行う研究分担者による成分分析、画像解析の実施時期が3年目(H28年度)にずれ込むため。
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次年度使用額の使用計画 |
継続的に実施する成分分析、画像解析に必要な物品費として使用する。
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