研究課題
海綿動物からはこれまで2万以上の生物活性物質が報告されており、海洋生物の中でも際だった医薬資源である。一方で、海綿由来の生物活性物質の多くは共生微生物によって生産されていることが近年明らかにされつつある。我々は先行研究によって、伊豆半島産の海綿Discodermia calyxに含まれる、抗ガン剤としての応用が期待される細胞毒性物質、カリクリンAの生合成遺伝子クラスターを同定し、その生産菌を明らかにしてきた。興味深いことに、太平洋海域に生息する全く異なる種の海綿からカリクリンAと同一の骨格を有する代謝産物が単離、報告されている。そこで、これら太平洋域の海綿を採集調査し、生合成遺伝子を単離、比較検討することにより、その生合成機構を解明し、天然物の構造多様性の起原を探る。また同時に、これら海綿に共通の生産菌が存在する可能性について検証し、物質生産に秀でた共生菌の分布の普遍性を調査した。H29年度は、最終年度、研究成果のとりまとめを行った。昨年に引き続き、ミャンマー・ヤンゴン大学・Nwet Nwet Win教授教授のサポートのもと、対象地域としてミャンマーを訪問、海綿の採集調査を行った。また、インドネシア・LIPI・Masteria Yunovilsa Putra教授とは、試料調査、情報交換、共同研究を進めた。化学分析用試料は現地で抽出エキスを調製し、それらを持ち帰りLC-MS等を用いた成分分析と生物活性試験を行っている。遺伝子を対象とする実験試料は採集した海綿をRNALaterに保存し、それを持ち帰ってPCR等の分析に供した。これ以外にも、ベトナム、中国、マレーシアを訪問し、研究者と研究討論と情報交換、国際学会で招待講演を行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 8件) 備考 (1件)
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