研究課題/領域番号 |
26303011
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐野 大輔 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80550368)
|
研究分担者 |
大村 達夫 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30111248)
片山 浩之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00302779)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | スペイン / 下水 / 病原ウイルス / 病原細菌 |
研究実績の概要 |
本研究は、歴史上の繋がりから欧州連合における中南米の国々との窓口の立場にあり、魚介類等を大量に輸入しているスペインに着目し、スペイン国内で得られた下水中の病原微生物を網羅的にモニタリングし、将来の日本において発生しうる輸入感染症を予見するための知見を得ることを目的としている。研究2年目である平成27年度は、研究初年度に得たサンプルに関する解析を進めた。スペイン・バルセロナ大学には2週間滞在し、研究協力者であるAlbert Bosch教授(バルセロナ大学)の研究室において、ウイルス遺伝子の抽出及び逆転写反応を行った。サンプルは日本に持ち帰り、Microfluidic PCRによるウイルス遺伝子の網羅的検出を行った。その結果、ノロウイルスGIIに由来する遺伝子を含むサンプルが複数得られた。これらのサンプルについて、ノロウイルスGII由来遺伝子を通常のPCRにより増幅し、次世代シーケンスによるアンプリンコン解析を現在進めている。 また、2週間のバルセロナ大学滞在中には、「Special Workshop on Health-Related Environmental Virology」と題してワークショップを開催した。スピーカーは研究代表者と研究分担者2名(東北大学・大村達夫教授、東京大学・片山浩之准教授)、及びバルセロナ大学から2名(Anicet Blanch教授及びSusana Guix助教授)の計5名であり、約40名の参加者が聴講した。研究代表者はこのワークショップにおいて、本研究の意義と進捗状況を報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者であるAlbert Bosch教授(バルセロナ大学)の協力を得て採取したサンプルからノロウイルス遺伝子を検出したところ、複数のサンプルが陽性であった。これらのサンプルについて次世代シーケンスによるアンプリコン解析を進めているが、これにより各サンプルに含まれていたノロウイルスの遺伝子構成が明らかとなる。この情報はバルセロナ周辺における食中毒情報と比較され、輸入感染症の有無を判断する材料となる。また、情報交換のためにスペイン・バルセロナ大学でワークショップを開催し、約40名の参加者の前で、本研究の意義と進捗状況を報告した。これら一連の作業等は全て当初予定通りに進んでいることから、「おおむね順調に進展している」と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
スペイン国内で輸入感染症を引き起こした病原ウイルスの遺伝子型の同定を目指し、これまでに得られたPCR産物に対する次世代シーケンス解析を進める。本年度は研究最終年度であることから、研究成果報告も積極的に進める。平成28年9月には第5回国際食品・環境ウイルス学会が群馬県草津町で開催されるが、研究代表者はこの国際会議の幹事長を務めており、研究協力者であるバルセロナ大学・Albert Bosch教授及びRosa Pinto教授を招聘し、本研究の成果発表を行う予定である。また、この国際会議に付随する研究集会においても、本研究の成果を発表する。さらに、年度末には研究総括のために、スペイン・バルセロナにて第2回ワークショップを開催することを計画している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究の成果発表を行うために、共同研究者であるバルセロナ大学生物学部微生物学科のAlbert Bosch教授を2016年9月13-16日に群馬県草津町で行われる第5回国際食品環境ウイルス学会に招聘する予定である。その招聘費用を確保するために、411,321円を次年度使用することとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
共同研究者であるバルセロナ大学生物学部微生物学科のAlbert Bosch教授の招聘費用として、航空券、滞在費及び学会登録費に充当する。
|