研究課題/領域番号 |
26303012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福士 謙介 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 教授 (30282114)
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研究分担者 |
森田 茂紀 東京農業大学, 農学部, 教授 (00143404)
徐 開欽 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主席研究員 (20250722)
張 振亜 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (20272156)
李 玉友 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30201106)
松田 浩敬 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (50451901)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 持続的発展 / 都市農村融合 / 中国 |
研究実績の概要 |
本研究は中国華北地域の農村を対象に、水と土壌環境の状況を調査し、農業、畜産業、水産業(養殖業)からの汚濁負荷の状況調査と将来予測を行う事により、適切な制度・技術の適用モデルを構築し、最終的には中国農村に地域における持続的発展モデルを提案することを目的としている。具体的には、中国河北地域の代表的都市、天津市を対象とし、天津市農村工作委員会、南開大学、天津農学院、天津科技大等との緊密な協力により実施するものであり、いわば国をまたいだ官学連携による研究である。 本年度は、調査フェーズにあたる。本研究は1)河川、湖沼、土壌の既存環境データの収集と検証、2)農村系産業(畜産、農業、集落、加工業)からの汚染物排出量調査、3)漁村系産業(養殖、水産、集落、加工業)からの汚染物排出量調査、4)その他の農村関連の事項(居住形態、就労形態、補助金など)の調査、5)水・資源の循環的有効利用を基軸とした中国農村開発モデルの構築、の5つからなるが、本年度は、特に1)~4)について各代表研究者が、それぞれの調査項目の調査計画に基づき、各自調査を実施することとしていた。これらは、昨年度に実施した調査モデル地域の選定や関係諸機関との調整、研究資源の再確認等に基づいて実施された。調査方法や調査結果については、各グループ内で議論・共有されることはもちろん、2015年4月、同10月にそれぞれ東京、天津市にて日中共同セミナー「都市と農村の融合に基づく持続的発展」を開催することを通じて、各グループ間の連携の強化に努めた。当然のことながら日本側研究参加者および中国側研究参加者の別なく活発な議論を行い、明らかとなった調査対象地域の問題や、今後の調査方針や連携方策に関する共通認識の確立に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、調査モデル地域の選定や関係諸機関との調整、研究資源の再確認等からなる、昨年度に実施した「準備フェーズ」に続く「調査フェーズ」にあたる。5つの各研究項目、1)河川、湖沼、土壌の既存環境データの収集と検証、2)農村系産業(畜産、農業、集落、加工業)からの汚染物排出量調査、3)漁村系産業(養殖、水産、集落、加工業)からの汚染物排出量調査、4)その他の農村関連の事項(居住形態、就労形態、補助金など)の調査、5)水・資源の循環的有効利用を基軸とした中国農村開発モデルの構築、のうち、特に1)~4)について各代表研究者が、それぞれの調査項目の調査計画に基づき、各自調査を実施することとしていた。各グループそれぞれについて、日中の緊密な連携の下、研究グループごとの濃淡はみられるものの進展がみられた。調査結果については、本研究の中核を占める日中共同セミナー「都市と農村の融合に基づく持続的発展(2015年4月、同10月にそれぞれ東京、天津市にて開催)」にて、各グループ間の連携の強化を行った。日本側研究参加者および中国側研究参加者の別なく活発な議論を行い、明らかとなった調査対象地域の問題や、今後の調査方針や連携方策に関する共通認識の確立を通じ、最終年度における研究成果の統合化とそれを踏まえた社会実装に向けた準備を行うことができた。 以上より、本研究は、各研究グループ間で進捗の濃淡がみられるものの、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成28年度)は「調査・とりまとめフェーズ」にあたる。すなわち初年度の「準備フェーズ」と本年度の「調査フェーズ」で得た環境調査、農村調査を元に、中国の農村発展のためのモデルを構築することとしている。本フェーズではより頻繁で長い期間の論議を日中で行い、1)環境、2)農業・水産業生産、3)資源管理、4)経済・政策の4つの軸で調査結果を解析し、将来的(20年を想定)な予測(たとえば新しい環境技術・農作物生産技術の導入)も含めてとりまとめ、農村が発展していくための提言の形でモデルを作成することを目標とする。これらは、昨年度、本年度同様、本研究の中核を占める日中共同セミナー「都市と農村の融合に基づく持続的発展」を中心に行っていく。すでに年度当初の4月と10月に日中それぞれで開催することに合意されている。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国において環境調査を行う予定であったが、先方の都合と政府からの許可を得るのに時間がかかり、やむを得ず、調査を次年度行うことにしたため、当初必要であった旅費に余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度は最終年度に当たる。今までそれぞれの研究者が個別に集め、会議によってその情報を共有してきたが、それらを統合し、ひとつの報告書としてとりまとめる。この報告書は日中共同で作成され、天津市の政府ならびにメンバーの一人である全国人民代表大会・議員により承認を受け、最終的に中国政府・人民委員会に提出される。
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