研究課題
バリ島のブヤン-ブラタンおよびバツ-ルカルデラ周辺に分布するテフラの層序学的調査を行っている.完新世ではバツールカルデラ・ペネロカン噴火(約5.5 ka BP)が大規模なため,重要な指標層となる.また,東隣のロンボク島,サマラス火山のAD1257噴火はさらに大規模なため,降下火山灰がバリ島も広く覆っている.この2つのテフラを利用すると,これまで完新世で噴火していないと考えられていたブヤン-ブラタンカルデラでも,後カルデラ火山がスコリア噴火を3回以上繰り返していたことが判明した.これらの知見は,同カルデラの地熱ポテンシャルを評価する上でも重要である.また,炭化木片などの放射性炭素年代測定試料やテフラ分析用のサンプルも採取しており,年代や分布の詳細を明らかにするべく分析を進めている.2016年度までの温泉や地下水調査結果に基づき,ブヤン‐ブラタンカルデラの南外側斜面で,温泉や地下水,地表水のデータが不足している地域を重点的に調査し,温泉,温泉付随ガス,地下水,地表水の試料採取を行った。その結果,今回新しく見出した温泉からの付随ガスの希ガス同位体比は,活火山から放出されるマントル起源の最高値とほぼ同じ値を示し,この地域のほとんどの温泉に付随するヘリウムの3He/4He比が広域にわたって同様な値が分布していることが確認補強された。また,採取した地表水や地下水の水の同位体比から,南側斜面における地熱系モデル構築の際に必要,浅所の地下水の循環に関する知見が得られた。今回明らかになったブヤン-ブラタンカルデラの噴火活動史,および温泉付随ガスの特徴と分布などの温泉,地下水に関するデータは,従来報告された地熱系モデルでは説明できず,南斜面上にも深部由来の熱水の上昇中心がある地熱系モデルが構築され,本域は新地熱開発地域として評価されることを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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IOP Conference Series: Earth and Environmental Science
巻: 103 ページ: 1-6
10.1088/1755-1315/103/1/012014
号外地球
巻: 68 ページ: 24-29
号外地球,68, 30-37.
巻: 68 ページ: 30-37