研究課題
ハイドレートのガス組成は結晶構造を決定し、結晶物性やガス包蔵性に影響を及ぼしている。サハリン島南西沖タタールトラフ(日本海最北部)において、本研究期間の2014-2015年に計2回の調査航海が実施され、計6本の天然ガスハイドレート含有堆積物コアの採取に成功した。結晶解析、ガス・水分析等を行なった結果、炭素同位体比が-40‰台の熱分解起源と判断されるメタンを主として包接した構造I型結晶であることが明らかにされた。このような産状は他に日本海上越沖とバイカル湖(ロシア)にしかなく、構造II型出現を促す熱分解起源エタン、プロパン、ブタン等が少ないことが本質的要因である。一方で、実は微生物によってメタンに還元されるCO2の炭素同位体比が元々大きい、すなわち微生物起源ガスではないか、との仮説も成り立つ。そこで2016年(最終年度)には、比較研究のためにロシア・バイカル湖の熱分解起源メタンが湧出する地点でのハイドレート試料採取を実施し、同様の試料解析を行ない、海水・淡水環境下での違いを検討した。その結果、包接メタンの水素同位体比が炭素同位体比とともに増加する傾向から、タタールトラフ(海域)・バイカル湖(陸域)ともに堆積層深部から供給される熱分解起源メタンであることが示唆された。一方、実験室研究ではメタンハイドレート水和数に及ぼす硫化水素の影響、ハイドレート生成時のゲストガス安定同位体分別に及ぼす堆積物粒子の効果、天然ガスハイドレートおよび各種ゲストガスによる人工ハイドレートの解離熱測定、結晶表面でのガス交換過程に関わるガスハイドレート比表面積の減少過程等に関する知見を得た。特に、バイカル湖でみられるメタン・エタン系混合ガスハイドレートの解離特性および安定同位体の変化から、構造I型結晶が分解すると同時にエタンを濃縮した構造II型結晶が再生成されることが実験的に証明された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Lithology and Mineral Resources
巻: 52(2) ページ: 102-110
10.1134/S0024490217020055
Neftegazovaya Geologiya. Teoriya I Praktika
巻: 12(1) ページ: -
10.17353/2070-5379/8_2017
雪氷
巻: 79(4) ページ: 印刷中
北海道の雪氷(日本雪氷学会北海道支部機関誌)
巻: 36 ページ: 印刷中
巻: 78(5) ページ: 281-290
巻: 35 ページ: 95-98
巻: 35 ページ: 99-102
http://www-ner.office.kitami-it.ac.jp/
http://cee.civil.kitami-it.ac.jp/study/hydrate/