研究実績の概要 |
本研究課題の一部であるベトナムにおける貝形虫類の多様性に関する論文(3種,Loxoconcha damensis, Xestoleberis vietnamensis, Xestoleberis munensisを新種として記載)を,学術誌Zootaxaに投稿して受理・掲載された.この論文は2012年~2015年に研究代表者を指導教員として博士課程を修了したLe Doan Dungと共著となった.またこの論文成果を金沢市で開催された第3回アジア貝形虫シンポジウム(3rd Asian Ostracod Meeting)で共著で発表し,そのためにLe Doan Dungを7日間日本に招聘した. 前年度に調査を行ったパラオ諸島の試料を処理し,貝形虫類を抽出した.特に上科Cypridoideaの貝形虫としては非常に稀な海生間隙性種Renaudcypris属の未記載種が発見され,分子系統解析を国立科学博物館の蛭田眞平博士と共同で解析した結果,この分類群が,日本の同属未記載種と共に同上科の系統の基幹部分(stem)から派生していることが高い確率で示された.また同時に得られたパラオの試料からは,現在重点的に研究している上科Bairdioideaの間隙性種Pusella sp., Anchistolocheles sp., Orlovibairdia sp.等も得られており,日本周辺の同属種との比較を行う上で重要な標本を得ることができた.さらに多数のPodocopidaおよびMyodocopidaの貝形虫類の標本を確認することができた. これまでの調査で得られた,ベトナム,グアム・サイパン,マレーシア,パラオの試料を総括的に整理し,静岡大学キャンパスミュージアムに学術資料として登録・収蔵した.
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