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2017 年度 実績報告書

赤道恒温性気候帯において温帯性木本植物が四季咲き化する環境因子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 26304021
研究機関京都大学

研究代表者

細川 宗孝  京都大学, 農学研究科, 准教授 (40301246)

研究分担者 札埜 高志  兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 講師 (40314249)
北村 嘉邦  信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (90578139)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワード赤道恒温性地域 / インドネシア / アジサイ / 花成
研究実績の概要

平成28年度に続いて,20品種のアジサイについてベーサルシュートの開花性を調査した.‘エゾ’を除いて,平成29年度では28年度と比較してベーサルシュートの開花率が低下したものの,平成28年度に開花率が高かった‘エンドレスサマー’,‘クリスマス’および‘ロゼア’は29年度にも他の品種と比較して高い開花率を示した
花成促進遺伝子であるFTおよび花成抑制遺伝子TFL1のアジサイホモログのmRNA全長配列を決定した.FTについては1クローンを,TFL1については2クローンを単離し,それぞれHmFT,HmTFL1-1およびHmTFL1-2と名付けた.HmFTから推定されたアミノ酸配列はFTクレード,HmTFL1-1から推定されたアミノ酸配列はBFTクレード,HmTFL1-2から推定されたアミノ酸配列はCENクレードに属していたことから,HmFTが花成促進因子,HmTFL1-2が花成抑制因子として働き,HmTFL1-1は花成に関与しない可能性があると考えられた.
平成28および29年度の調査でベーサルシュートの開花率が最も高かった‘ロゼア’と同調査でベーサルシュートが全く開花しなかった‘舞姫’について,ベーサルシュートの葉におけるHmFT,HmTFL1-1およびHmTFL1-2の発現を解析した.HmFTの発現量は4月,7月,8月に‘ロゼア’で‘舞姫’と比較して高かった.また,‘ロゼア’では7,8月について,4から6月と比較して有意に高い発現量が認められた.一方で,HmTFL1-2の発現量は6月,7月,8月に‘舞姫’で‘ロゼア’と比較して高かった.なお、インドネシアの系統についてもHmTFL1-2が花成と関連している可能性が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に同定した遺伝子のうちTFL1-2がアジサイの花成に関連して変動していることが分かった。このことから、インドネシアの環境と四季咲き化を関連付けるデータが今後期待できる。昨年度まではフェノタイプの判断だけであったので、大きな進展である。

今後の研究の推進方策

昨年度の実験により、HmTFL1-2はアジサイに開花抑制に関わっている可能性が示唆され、この遺伝子の発現が低下するとHmFTの発現が誘導され、開花に至るのではないかと推定された。そこで、各品種から抽出したDNAをもとに、long PCRおよびシークエンス解析を行うことで、プロモーター領域および構造遺伝子のシークエンスを比較する。また、経時的に葉をサンプリングし、HmTFL1-2の発現と花成との関連について考察する。
次に、昨年度の調査より、7月前後の日照時間の短縮に応じてベーサルシュートにおけるHmFTの発現上昇およびHmTFL1-2の発現低下が起こることが明らかになっている。そこで、人為的な短日あるいは長日条件でベーサルシュート開花型および非開花型品種を管
理し、HmFTおよびHmTFL1-2の発現変動を調査する。さらに、1.において発現解析に供する、短日あるいは長日条件で管理するベーサルシュートについて、開花率の違いを明らかにする。
鉢植えのアジサイを対照区,遮光区および冷涼区で栽培し、ベーサルシュートの葉身長・幅、節間の長さ・直径、発らい日および開花日、ならびにベーサルシュートの葉におけるHmFTおよびHmTFL1-2の発現量を調査する。アジサイのべーサルシュートの成長・開花および花成関連遺伝子の発現様相と環境要因との関係を調査し、アジサイの成長・開花モデルを構築し、アジサイの四季咲き化を誘導する要因を推定する。
インドネシアにおいて街路や公園、庭などに植栽されているアジサイの開花状況を調査する。調査ルートとして、アチェ州のバンダアチェ(標高およそ20m)~アチェ州のタケンゴン地区(標高およそ1500m)およびジャカルタ(標高およそ7m)~西ジャワ州のボゴール(標高およそ270m)を予定している。インドネシアの気象データおよび開花状況をプロットした地図を作成する

次年度使用額が生じた理由

インドネシアのボゴール大学との学術交流協定の締結に関してDNAとRNAの移動は可能となっており、研究は進んでいるが、植物の移動に関しては未だに協定が締結されていない。2018年度に締結が可能となる見込みであり、研究費を2018年度に回して最後のデータを集めることとしたため、2017年度には旅費がほとんど発生しなかった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] アジサイにおける葉のサイズおよびその成長速度にみられる季節変化2018

    • 著者名/発表者名
      礼埜高志・北村嘉邦・片山千絵・細川宗孝
    • 学会等名
      園芸学会
  • [学会発表] 当年開花性が異なるアジサイの品種間での花成関連遺伝子の経時的発現量の違い2018

    • 著者名/発表者名
      川西陽子・礼埜高志・細川宗孝・北村嘉邦
    • 学会等名
      園芸学会

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公開日: 2018-12-17  

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