研究課題/領域番号 |
26304028
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研究機関 | 国立研究開発法人 森林総合研究所 |
研究代表者 |
上田 明良 国立研究開発法人 森林総合研究所, 九州支所, チーム長 (90353599)
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研究分担者 |
高橋 正義 国立研究開発法人 森林総合研究所, 森林管理研究領域, 主任研究員 (50353751)
酒井 敦 国立研究開発法人 森林総合研究所, 四国支所, チーム長 (70353696)
前藤 薫 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80346238)
滝 久智 国立研究開発法人 森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 主任研究員 (80598730)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 衛星画像 / GIS / REDDプラス / 植生 / 腐肉食性甲虫 / ハナバチ / 寄生蜂 / カリマンタン |
研究実績の概要 |
前年度に協議書(MOU)についてはほぼ合意に達していたが、再三の催促に対し、返答がなくなり頓挫した状況に陥った。そこで、5月にカウンターパート機関(インドネシア科学院生物学研究所)を訪問し、所長と動物博物館館長に再度研究内容について説明を行い、その後カウンターパート2名を加えて協議を行った。これにより、ようやく合意に達し、7月に協議書にサインか交わされた。 バリクパパン近郊のスンガイワイン保護林内で1993、1998年に火事を受けた場所に設けたライントランセクトで、樹木植生調査と腐肉食性甲虫の採集を行った。当地では尾根部の火事の程度が強く、尾根と谷で植生が大きく異なる。また、保護林中心部から遠ざかるほど、火事の程度が強くなる。その結果、樹木と腐肉食性甲虫の種数が保護林中心に近い谷部ほど多い傾向があった。このことから、良好な広い森林に近いほど、多様性が高くなる傾向があることがわかった。 ハナバチ類については、様々なトラップを用いた採集を行い、最適なトラップの選定を行った。次年度以降、選定したトラップでデータを蓄積する。 衛星画像と植生の関係を明らかにするため、現地協力者から様々な地点で取得された画像データを購入した。このデータと衛星画像データの解析を今後行うとともに、新たな画像データの蓄積を協力者に依頼した。 モデル作成のため、衛星画像から現存のトランセクトとは異なる景観構造をもつ地域を選択し、次年度の調査地として、新たに2本のトランセクトの設定と測量を行った。うち1本は、保護林中心部に向かうにつれ攪乱程度が低くなる傾向がある傾斜がなだらかな場所を選んだ。もう1本は,現存のトランセクトよりも火事の影響がより強くかつ起伏のある場所を選んだ。このほか、次年度以降の調査の進め方について、インドネシア側研究者と打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
懸案であった協議書の締結が行われ、スムーズに研究が行われている。また、地元協力者を確保したことにより、より広範囲な画像データの収集が可能となった。モデル作成のための動植物多様性データの蓄積もおおむね予定どおり進んでいる。また、衛星画像を用いて選定した今後の調査予定地の確保も、地元機関の協力のもと、行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
衛星画像から生物多様性を推定するモデルの作成のため、バリクパパン近郊のスンガイワイン保護林内で動植物多様性データの蓄積をさらに進める。調査は既に設定したトランセクトおよび保護林内の良好な天然林内で行う。また、衛星画像と植生との関係について、地元協力者から得た画像データを解析し、GISデータを蓄積する。これまでに得られたデータと次年度に得るデータを基に、衛星画像から生物多様性を推定するモデルの作成に取りかかる。モデルは、最終年度の現地調査までに作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、現地調査は11月23日からの3週間を予定していた。そのため、昨年度同様、9月から渡航に必要な書類をインドネシア側当局に送付し、調査ビザが下りるのを待っていた。ところが、ビザ発給が大幅に遅れ、11月の渡航には間に合わなかった。そのため、遅れて下りたビザを使用して、急きょ調査を2月の5~10日間に短縮して行わざるを得なくなった。日程を短縮したため、旅費および現地費用に残額が生じた。また、11月の渡航で採集したサンプルの整理を12月以降に非常勤職員に依頼する予定であったが、次年度に行うこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
短縮された調査を補う目的で、現地調査のための出張回数または滞在日数を増加させる。また、現地協力者にデータ取得を依頼する。27年度サンプルの整理のための非常勤職員の雇用に用いる。
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