研究課題/領域番号 |
26304028
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研究機関 | 国立研究開発法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
上田 明良 国立研究開発法人森林総合研究所, 九州支所, チーム長 (90353599)
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研究分担者 |
高橋 正義 国立研究開発法人森林総合研究所, 森林災害・被害研究拠点, チーム長 (50353751)
酒井 敦 国立研究開発法人森林総合研究所, 四国支所, チーム長 (70353696)
前藤 薫 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80346238)
滝 久智 国立研究開発法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 主任研究員 (80598730)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | REDD+ / リモートセンシング / 生物多様性 / GIS / ボルネオ島 / 植生 / 糞虫 / ハチ |
研究実績の概要 |
生物多様性と衛星画像との関係を解析するための多様性データの蓄積を目的とした調査を、インドネシア共和国東カリマンタン州バリクパパン市北部にあるスンガイワイン保護林において12月に行った。1993、1998年に火事を受けた森林に設けた長さ1800mのトランセクト(火事林)および火事を受けていないメイントレイルに沿った長さ3300mのトランセクト(非火事林)で調査を行った。トランセクト上に定間隔に設けたプロット内の樹木測定調査の結果、火事林では始まりから700~1300mのプロットで樹木サイズが大きく、種数も多い傾向があった。非火事林では2700m以降で樹木サイズが急増したが、種数には大きな変化はなかった。魚肉ベイトを用いた腐肉食性コガネムシ類捕獲調査の結果、火事林では600mの地点が種数と捕獲数がもっとも多く、非火事林では1500m地点で種数と捕獲数がもっとも多くなった。糖蜜トラップを用いたハナバチ類調査の結果、ハリナシバチ科が火事林ではほとんど捕獲できなかったのに対し、非火事林では距離を経るにつれ捕獲数が多くなった。衛生画像と植生の関係を明らかにするため、現地協力者から様々な地点で取得された画像データを購入した。これらの結果およびこれまでのデータと衛星画像データとの関係の解析を今後進める。次年度は本プロジェクトの最終年度となり、モデル作成とその精度を検定する現地調査を行う。そのための調査地として、衛星画像をもとに新たに3本のトランセクトの設定も行った。このほか、次年度以降の調査の進め方について、インドネシア側研究者と打ち合わせした。また、セミナー「宇宙から生物多様性を調べるには?-衛星画像を利用した熱帯雨林の生物多様性研究-」(平成28年9月8日・神戸大学農学部EV701教室・大学院生対象)を催し、モデル作成に向けた協議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カウンターパート機関と地元の協力を得て、スムーズに研究が行われている。モデル作成のための動植物多様性データの蓄積もおおむね予定どおりに進んでいる。また、衛生画像を用いて選定した今後の調査予定地の確保も、地元の協力のもと、行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
衛星画像から熱帯雨林の生物多様性を推定するモデルを樹木および昆虫について作成する。その後、今年度新たに設定した調査地において、樹木および昆虫の多様性データを収集し、モデルから得た多様性データと比較することで、モデルの精度の検定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで雨季にあたる12、2月に調査を行ってきたが、乾季には行っていなかった。樹木植生については問題ないが、昆虫の発生は気象変化の影響を大きく受けることから、雨季のデータだけでは多様性データとしては問題がある。そのため乾季にあたる8月に調査予定をたてていたが、熊本地震の影響等で、実施できなかった。その分を29年度に繰り越して、8月に調査を行う。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度の8月に昆虫研究者2名がインドネシア共和国バリクパパン市に2週間程度出張し、乾季のデータを収集する。
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