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2015 年度 実績報告書

インフォーマル種子供給制度の持続性評価-エチオピアの自家採種・地域市場の事例から

研究課題

研究課題/領域番号 26304033
研究機関龍谷大学

研究代表者

西川 芳昭  龍谷大学, 経済学部, 教授 (80290641)

研究分担者 根本 和洋  信州大学, 農学部, 助教 (20293508)
香坂 玲  金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50509338)
山田 肖子  名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (90377143)
冨吉 満之  熊本大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20506703)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード遺伝資源 / 種子システム / 環境政策 / インフォーマル / 評価
研究実績の概要

初年度に引き続いて、インフォーマル種子供給制度が存在する首都アディス西方のDendi地域を対象に、農家を中心とした関係者の実態調査を協力機関のオロミア州農業研究所と共同で実施した。申請時点では、フォーマル制度の導入が比較的進んでいるオロミア州と、どちらかというと遅れている南部諸民族州等の村落から対象を抽出し調査を行うことを予定していたが、オロミア州において海外援助等を受け入れている地域においてもインフォーマル種子供給が持続していることが初年時に判明したため、オロミア州に絞って調査を行った。
12月にオランダ種子プロジェクト関係者およびエチオピア農業研究機構と合同でアディスアベバにおいてワークショップを開催し、種子供給制度理解の解釈について情報交換・共有を行った。
国内では定期的に研究会(年度内4回)を実施し、調査進捗をチーム内で共有するとともに、ヨーロッパ・台湾・沖縄等を含めた他地域で種子システム研究を行う研究者との情報交換を積極的に実施した。
なお、現地調査は、現地協力者を通じ政府普及組織のスタッフに一部委託し、種子システムの中心的役割を担っている農家・農民とフォーマルな組織である行政・企業・研究機関の相互関係の実態について事業実施に参画するアクションリサーチ手法で調査している。さらに、研究協力者に地域研究者を加え、対象地近隣地区における種子供給の類似点・相違点について調査を始めた。ただ、年度後半は治安状況が不安定となり、一部中止している状況である。これまでに、品種による種子供給システムの違い、農家による種子認識の違いが明らかにされつつあり、今後指標をさらに検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

オロミア州の一部で治安状況が不安定となり、大使館から注意喚起がなされたため、12月以降は原則的に対象農村への立ち入りを中止しており、実施済みの質問票調査の分析を中心に行っている。治安状況改善を待ち、情報の農家へのフィードバックと補足現地調査を実施したい。

今後の研究の推進方策

得られた知見をもとに、インフォーマル制度が持続的に存在する要因を分析する評価項目の整理を行う。特に、農家による自家採種・保存・交換・地域における販売を認める「農民の権利」の概念と、OECDプロジェクト評価項目を基に新たに構築した指標を関連つける可能性について検討を行う。
これらの分析をを通じて、政府や研究機関の参加を得た地域内組織が中心となった持続可能な種子システムの構築に対する外部者の関与の政策、手法を提言することを目指す。
第二年度までの調査研究の成果を現地研究機関や海外の開発協力・研究機関等にフィードバックし,抽出された成果・分析結果に対して当事者・研究者・介入実践者の評価を依頼する。具体的には、環境経済学の枠組みも援用し、システムに種子のオプション価値・使用価値等がどのように影響し、かつシステムから生み出されているかを分析する。多様なステークホルダーの種子供給システムへの関与の実態・背景にある思想・価値基準を整理し、具体的な評価項目に関連させる。
最終研究会及び公開ワークショップを開催し、インフォーマル種子供給制度が地域内外の関係者の多様な判断項目・基準により形成され、変容しつつ持続しているという仮説を、広義の経済的価値把握・教育システム・制度構築メカニズムも統合して構築した評価項目を用いて提案する

次年度使用額が生じた理由

治安状況が不安定となったため、現地調査に一部遅れが生じた。
それに伴い、アディスアベバで実施した研究集会の時期がヨーロッパのクリスマス時期に重なったこと、主たる協力者が産休に入ったことによりヨーロッパの参加者を得られなかったため、援助機関エチオピア国内スタッフの協力を得て実施したため、旅費の一部が執行できなかった。

次年度使用額の使用計画

治安状況を見極めて、現地追加調査の方法・時期を検討し、可能であれば8月に再開する。
また、ヨーロッパの研究者との意見交換は最終研究会への参加招へいを検討する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (2件) 図書 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [学会発表] エチオピアにおけるテフのインフォーマル種子供給の持続性評価 II.エチオピアの文脈におけるインフォーマルシステムの多様な視点2016

    • 著者名/発表者名
      西川芳昭・根本和洋・Tesfaye Gemechu
    • 学会等名
      日本熱帯農業学会
    • 発表場所
      明治大学農学部
    • 年月日
      2016-03-23 – 2016-03-24
  • [学会発表] エチオピアにおけるテフのインフォーマル種子供給の持続性評価 III. 異なるテフ品種における農家認識の比較2016

    • 著者名/発表者名
      根本和洋・西川芳昭・Tesfaye Gemech
    • 学会等名
      日本熱帯農業学会
    • 発表場所
      明治大学農学部
    • 年月日
      2016-03-23 – 2016-03-24
  • [図書] Participatory evaluation of farmer-saved and purified seed for improved agronomic performance2016

    • 著者名/発表者名
      Alem G/tsadik, Kelali Haftu, Yoshiaki Nishikawa, Ibrahim Fitiwy
    • 総ページ数
      16
    • 出版者
      Practical Action Publishing
  • [図書] 伝統野菜の今2015

    • 著者名/発表者名
      香坂玲・冨吉満之
    • 総ページ数
      276
    • 出版者
      清水弘文堂
  • [学会・シンポジウム開催] Workshop on Sustainability of Informal Seed System2015

    • 発表場所
      Ethiopian Institute of Agricultural Research, Addis Ababa
    • 年月日
      2015-12-28 – 2015-12-28

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公開日: 2017-01-06  

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