研究課題
動植物相の豊かなミャンマーは、インド亜大陸と東アジアを結ぶインドシナ半島の地理的要所である。しかし、寄生虫や媒介節足動物に関する疫学的調査は散発的な状況にとどまっている。平成28年度は、イヌのバベシア原虫の感染状況についてPCRの条件を変更して再検討した。その結果、Babesia gibsoniならびにBabesia vogeliを検出することに成功した。また、抗トキソプラズマ抗体陽性を示したヤギが飼育されている農場地区のネコの糞便中からオーシストを検出した。オーシストのPCR検査を行ったところ、このオーシストはトキソプラズマ由来であることが判明し、ネコとヤギの間でトキソプラズマの感染環が成立していることが明らかとなった。ミャンマー産の野生小型哺乳動物については、ラット類(Rattus属とBandicota属)から、ヒトでの感染も報告されているTrypanosoma lewisiのDNAを検出することができた。ラット類およびハツカネズミ類(Mus属)を分子系統学的に解析した結果、ラット類 およびMus musculusは周辺国のものと遺伝的類縁性は高かったが、Mus nitidulusのように系統学的独自性を長い進化過程の中で維持した種も存在することが判明した。ジャコウネズミのミトコンドリア遺伝子の解析では、日本のジャコウネズミは東シナ海の大陸を経由した外来種であるのに対して、ミャンマーでは複数の遺伝系統が移入していることが明らかになった。一方、バングラデシュにおける野犬のリーシュマニア症の疫学については、イヌ血漿中にリーシュマニア原虫由来のcell-free DNAが存在することを明らにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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