研究課題/領域番号 |
26304040
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
高島 康弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20333552)
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研究分担者 |
前川 洋一 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10294670)
大屋 賢司 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50402219)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 流産 / 人獣共通感染症 / バングラデシュ |
研究実績の概要 |
ヒトへの感染源となる畜産物にトキソプラズマ原虫がどの程度含まれているか、バングラデシュの市場で入手できる畜産物をサンプルとして検証した。この際、検出感度をあげるために微量の標的DNAを効率よく増幅できる新しい条件下でPCRを行った。この結果、食品として販売されているヤギの脳から高率にトキソプラズマ遺伝子を検出した。ただし検出したのは変異の比較的少ないマルチコピー遺伝子であり、潜伏感染している虫体の遺伝子型については確定できなかった。遺伝子型の確定にはいくつかのシングルコピー遺伝子の増幅が必要であり、さらなる好感度でのPCRが必要になる。PCRについて条件検討を実施し、ある程度の改善を得たため、遺伝子型確定のめどはついたが、年度内にすべての作業を終了させることができなかった。この点については平成30年度に完了したい。これとは別に、流産の原因となる感染症やその他の感染症でどの程度家畜が死んでいるのか、獣医師の診療記録をもとに分析を実施した。寄生虫疾患が比較的多いことや、宗教行事の時期と感染症の流行時期に一致が見られるなどの知見を得た。さらに栄養障害による家畜の死亡が一定数あることが明らかになり、栄養状態が感染症の重篤化に及ぼす影響について検討することの重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地市場の食肉から得られたトキソプラズマ遺伝子について、genotypingが終了していない。寄生虫量が少ないため既存の方法では実施不可能と思われ新たな技術の確立を要する。ただし必要となる新技術の確立については予備実験を終えており近い将来に計画を完了できる予定。
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今後の研究の推進方策 |
現地の市場で購入した食肉中に高頻度でトキソプラズマ遺伝子が存在していること、すなわち家畜の可食部にトキソプラズマが効率に感染していることを確認している。これらについて遺伝子型を明らかにすることが今後の研究目的となる。現時点では、Genotypingの対象となるシングルコピーの遺伝子をこの検体からうまくPCRにて増幅できていない。おそらく虫体数が少なく、多量に存在する宿主DNAによる干渉を受けているものと思われる。そこで多量の宿主DNAからトキソプラズマDNAだけを分離し、宿主DNAによる干渉のない状況でPCRを実施してGenotypingの対象となる遺伝子領域を増幅する。その後、既報の株(とくに東アジアの株とヨーロッパの株)と比較し、南アジアにおけるトキソプラズマ株の特性について検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
採材サンプルのうちいくつかに研究対象となる寄生虫が存在していることがはっきりしたが、その遺伝子型を特定するにあたり、現状の技術では十分な質のデータが得られないことが判明した。このため技術的な改良を自ら実施した後、これらサンプルの分析を行う。コレラ作業を次年度に完了する予定。
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