研究課題/領域番号 |
26304045
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
真常 仁志 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70359826)
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研究分担者 |
内田 諭 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (60425535)
佐々木 夕子 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (30635074)
手代木 功基 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (10635080)
石川 裕彦 京都大学, 防災研究所, 教授 (60263159)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 砂漠化 / ナミビア |
研究実績の概要 |
人口が砂漠化に与える影響を実証的に解明し、実効性ある砂漠化対処技術の開発・普及の一助とすることを目的として、人口密度の異なるナミビア北部3地域(稠密から希薄に向かってA,B,Cと名づける)を踏査し、土地利用史の解明、砂漠化の生態学的評価と住民ネットワークの解明、砂漠化対処技術の開発と普及に対する人口の影響評価に関して調査した。衛星画像を用いた解析も行った。 その結果、人口稠密地域Aにおける近隣住居までの距離の平均値は、中程度のBと大差がなかった。新たな森林伐採・農耕地の拡大パターンとして、外縁部に伸びるものと離散的に入植があった土地の間を埋めるようなものとが認められた。一方希薄地域Cでは、家屋の間に未伐採の森林が広がっており、今後開拓が進むと思われた。地域Aでは、土地面積が地域Bと比べて格段に狭いとは言えないが、耕作に利用されている面積割合が大きいことが観察され、土地劣化が懸念された。さらに、地域Aでは、世帯ごとの労働力に大きな差が見られ、世帯によっては多くの壮年男女が村を離れているケースがあった。つまり、定着年代が早く人口が稠密であると思われた地域Aでも、世帯によっては農耕に従事する労働力が少ない場合があることがわかった。このことは、当課題において今後開発する砂漠化対処技術を普及する際、人口密度の違いを地域レベルで区別するのではなく、世帯レベルで配慮する必要があることを強く示唆する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人口密度の違いにより異なる対処技術を開発する前提である人口密度の違いが地域に起因するのではなく世帯の社会経済状況に起因することがわかり、今後重点的に調査すべき項目が明らかとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
現行の土地利用法、特に農耕と牧畜の関係について調べる。砂漠化が問題となるような乾燥地においては、農耕と牧畜の混交が普通である。農耕と牧畜は、資源利用の面において、共生的にも競合的にもなりうるので、土地利用の持続性を評価する上で農耕と牧畜による資源利用を明らかにすることは特に重要である。 次に、その土地利用における物質収支を評価し、砂漠化プロセスを明らかにする。なぜなら、物質収支が破たんしていれば、その土地は早晩生産性を失い、砂漠化へとつながるからである。
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次年度使用額が生じた理由 |
人口密度の異なる2地域に気象観測装置を設置し、砂漠化に関する生態学的調査を開始する予定であったが、現地踏査の結果、そのような研究対象地の設定よりもミクロなスケールで設定すべきことがわかり、気象観測装置の設置などをとりやめたため。
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次年度使用額の使用計画 |
ミクロなスケールでの調査のために必要な土壌水分センサーの購入費用や農家圃場の借り上げ、農作業への謝金、それら作業実施のための渡航費に利用する予定である。
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