研究課題/領域番号 |
26304045
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
真常 仁志 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70359826)
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研究分担者 |
手代木 功基 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (10635080)
石川 裕彦 京都大学, 防災研究所, 教授 (60263159)
内田 諭 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 領域長 (60425535)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 砂漠化 / ナミビア |
研究実績の概要 |
人口が砂漠化に与える影響を実証的に解明し、実効性ある砂漠化対処技術の開発・普及の一助とすることを目的とした一連の研究を実施した。 衛星画像の解析の結果、重点調査地域とした人口密度が中程度の地域では、世帯敷地内での森林伐採がある広がりを持って、90年代後半に急激な耕地拡大があったことが確認できた。GPSを取りつけたウシの行動調査から、干ばつ年には放牧距離が延びるとともに、耕地内での作物残渣不足のゆえ、共有地となっている放牧地での滞在期間が延びることも明らかとなった。耕地内の強害雑草であるギョウギシバが作物に与える影響を評価した栽培試験からは、ギョウギシバが耕起によって生育が旺盛となり、土壌水分を減少させ、作物の生育にダメージを与えている可能性が示唆された。ギョウギシバは、地域内で均一に分布しているわけではなく、土性が細かい圃場で特に分布している傾向が認められた。このような圃場の土壌の保水性は比較的良好なことから、ギョウギシバは十分な水分が生育に必須であることが強く示唆された。以上のことから、限られた水分を有効に作物や飼料の生産に有効に活用できる技術の開発が強く望まれることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重点調査地域において、作物や飼料の生産における制限要因が明確となったため。
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今後の研究の推進方策 |
人口が中程度の地域であっても、住民は農業だけではなく、様々な現金獲得方策に従事していることがわかったので、省力的な砂漠化対処技術の開発を進める予定である。そのひとつのアイデアとして、多目的な樹木利用を考えている。そこで、住民による現在の樹木利用の実態を明らかにする研究を次年度は推進する。さらに、同じく人口希薄地域であるが、温帯に属し、植物バイオマス量の小さいモンゴルを比較対照として加えることも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度(H27年度)の請求額に加えて、平成26年度に生じた次年度使用額の一部のみを使用することで、ギョウギシバの栽培試験にかかる調査旅費などに充てることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の調査・研究の結果、人口希薄地域における砂漠化対処の比較対照として実施することになったモンゴルにおける現地調査の費用に充てる計画である。
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