研究課題/領域番号 |
26304045
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
真常 仁志 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70359826)
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研究分担者 |
手代木 功基 摂南大学, 外国語学部, 講師 (10635080)
石川 裕彦 京都大学, 防災研究所, 教授 (60263159)
内田 諭 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 領域長 (60425535)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 砂漠化 / ナミビア / モンゴル / 土壌有機物 / 環境保全 / 樹木利用 |
研究実績の概要 |
ナミビア北部において、耕作年数の経過がトウジンビエの収量と土壌肥沃度に与える影響及びそれに対する施肥効果を解明することを目的として実施した4年間の圃場試験の結果を取りまとめた。その結果、収量、株数は耕作2年目から有意に減少し、施肥はその影響を緩和できなかった。土壌の2 mm以上の画分の炭素(COM-C)が土壌全体に含まれる量の21 %であり、2 mm以下のSOM量が少ない当地域のような砂質土壌の肥沃度に大きく寄与していることが示唆された。このCOM-Cが耕作4年目までに有意に減少していた。収量、株数とCOM-C量の減少の時期は異なるが、両者の間には正の相関関係が見られた。施肥による増収が認められなかったことから、COM量の減少が収量に影響を与えたメカニズムとしては、土壌の養分状態ではなく、水分保持などの物理的特性の変化の可能性も考えられた。また、住民による樹木利用の実態調査から、比較的肥沃でない農地を有する農民が、少ない作物生産を補うために、樹木から得られる実などの産品を販売していることが明らかとなった。したがって、樹木利用の促進は、砂漠化防止と生計向上の両方を達成しうると考えられた。 モンゴルの国立公園内の住民による環境利用に関する調査から、住民は環境保護の意識を有してはいるものの、国立公園の管理主体である当局への信頼は薄く、今後の砂漠化防止には両者の信頼関係の醸成に資する活動が不可欠であることが指摘できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重点調査地域における作物生産の年次変動を規定している要因が明らかとなった。また、モンゴルにおける砂漠化研究では、課題解決に対するICTの可能性に関する追加調査の必要性も認識できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにモンゴルの砂漠化に関する研究で必要性が認識された調査を実施し、住民と当局の信頼関係醸成に対するICTの貢献の可能性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
モンゴルの国立公園内における砂漠化に関する研究を進めた結果、当局と現地住民の意思疎通に大きな課題があることがこれまでの研究から判明した。この成果を論文投稿し、さらに課題解決に対するICTの可能性に関する追加調査を次年度実施する。
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