研究課題
モンゴルの国立公園内における砂漠化に関する研究を進めた結果、当局と現地住民の意思疎通に大きな課題があることがこれまでの研究から判明した。この成果を論文投稿し、さらに課題解決に対するICTの可能性に関する追加調査を実施するために1年間延長した。追加調査では、ICTによる情報のやりとりが地域住民の自然保護や保護区管理に関する知識の強化、管理当局との信頼醸成を推進する可能性について実証実験を実施した。実証実験では、SMS(ショートメッセージサービス)とIVR(Interactive Voice Response:相互音声応答)を用いて、自然保護や保護区管理に関する情報を対象住民へ定期的に6ヶ月にわたって送信し、さらにIVRでは住民から自然保護に関する情報を受信した。実験終了後の対象住民への聞き取りから、SMSによる情報発信について積極的に評価する意見が認められ、知識の強化も確認できた。ただし、地域住民によるIVRを用いた情報の送信は低調であり、情報をやり取りする主体間の信頼醸成がICT利用の前提条件であることが明らかとなった。また、地域住民のなかでも女性や高学歴を有する住民がこれらICTの利用に積極的であり、男性や学歴の低い住民をどのように取り込むのかが課題であろうと結論した。途上国におけるICT利用については、地域開発におけるその有用性が論じられてきたものの、自然保護や保護区管理における有用性は、ほとんど報告されていない中、公園内に居住する住民を対象にSMSとIVRを用いた実証実験を実施したことの学術上の意義は大きい。さらに、対象住民への追跡調査から、実証実験の結果について、詳細に論じた点も学術的に高く評価できるだろう。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Land
巻: 7 ページ: 117~117
10.3390/land7040117