研究課題/領域番号 |
26304047
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清水 邦義 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20346836)
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研究分担者 |
土居 克実 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (40253520)
片倉 喜範 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50264106)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | キノコ / 生理活性 / 機能性成分 / 健康食品 / 化粧品 / Inonotus / Ganoderma |
研究実績の概要 |
ネパールは、標高約9000mの極寒地域から海抜50m未満の亜熱帯地域にわたる急峻な土地に位置し、多種多様な代謝物を有するキノコ群が存在している。そこのことに着目し、キノコ群を収集し、それらを形態学的ならびに遺伝情報からの種の同定を前年度に引き続き継続した。現在、150種以上の菌の収集に成功し、それらの抗酸化活性、メラニン生成抑制(促進)活性、抗アレルギー活性、抗菌活性についての評価が終了した。特に高い抗酸化活性を示した属は、Inonotus属であり、その中でも、Inonotus clemensiae が最も高い活性を有することを見いだした。本キノコのエタノール抽出物の総フェノール量は、643.2 mg GAE/gという極めて高い値を示した。さらに、還元力、DPPHラジカル捕捉活性、ABTSラジカル捕捉活性、いずれも高い値を示した。活性成分に興味が持たれ、各種クロマトグラフィーにより、その中の活性関与成分として、Hispidinを明らかにした。興味深いことに、本キノコのHispidin含量は、極めて高く、HPLC分析においては、他の代謝物がほとんど検出されなかった。健康食品や化粧品応用が、期待できるキノコである。さらに、いくつかの種のキノコにおいては、高い抗アレルギー活性、メラニン生成抑制(促進)活性、抗菌活性を示すことも見いだした。また、薬理活性が高いことが知られるGanoderma属のキノコのいくつかは、我が国で栽培されている同属のキノコよりも、機能性成分として知られ宇ラノスタン型トリテルペノイド類が豊富に含まれることも見いだした。さらに、有望なGanoderma 属キノコについては、ネパール現地の研究者と、栽培研究も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スクリーニング系が確立し、収集したキノコについて、抗酸化活性、抗アレルギー活性、メラニン生成抑制(促進)活性、抗菌活性についてのデータの獲得に、予定通り成功した。さらに、協力な抗酸化活性を示すキノコ素材として、Inonotus clemensiaeを見いだし、活性成分として、Hispidinを単離、同定した。さらに、ネパール産キノコは、同じ種であっても、日本国内で採取されるものと比較して含有成分が、量的質的に異なることを確認した。このように、当初の予定通りに進捗しており、さらに、予期せず、関連する発見が見いだされており、現在、国際学術雑誌に、本プロジェクト開始後、関連内容で、二報目を投稿中である。以上が、おおむね順調に進展していると判断した理由である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度実施の収集キノコの機能性評価を継続する。既に、いくつかの機能性の見いだされているキノコについては活性成分を解明する。加えて、前年度までのスクリーニングにより機能性が見いだされた同属ならびに同種のキノコの収集を行い、共通または関連する機能性成分を明らかにする。
項目だてをすると、次ようになる。1,キノコ収集ならびにキノコデータベースの構築、2,収集キノコのエキス調製、3,機能性評価(抗酸化、抗菌、抗アレルギー、抗肥満活性、美白活性、白髪防止活性)による機能性キノコのデータベース化、4、3で明らかとなった機能性を有するキノコの機能性関与成分の同定、5,NARCとの連携による機能性キノコの栽培方法の最適化(機能性関与成分の含量を最も高める栽培方法の開発)、6,3で明らかとなった機能性を有するキノコと同属キノコの再調査(HPLC等による機能性成分の含有調査)によるネパール産キノコの特徴解析
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