研究課題/領域番号 |
26305005
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
塚本 佐知子 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (40192190)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 薬用資源 / 海洋生物 / 植物 / 微生物 / 創薬 |
研究実績の概要 |
平成26年8月27日~9月7日、インドネシアで海洋生物、海洋由来真菌、及び、薬用植物の採集を行った。そして、海綿やホヤなどの海洋生物を201種類、薬用植物を55種類、さらに薬用植物の葉や茎から内生菌を275種類単離した。採取した生物は直ちにエタノールに漬けにし、サムラトランギ大学の研究協力者によってエタノール抽出している。現在、熊本大学において無脊椎動物や、以前海洋生物から単離した真菌の培養液からスクリーニング用サンプルを調製し、各種スクリーニングを行っている。スクリーニングの種類は、細胞毒性、抗菌活性、ユビキチン-プロテアソームの各ステップに対する阻害活性、マクロファージ泡沫化阻害活性、破骨細胞分化抑制活性などである。平成26年度の研究成果は、5報の原著論文と16件の口頭発表により報告した (「13. 研究発表」参照)。原著論文については以下の通りである。(1) 海綿 Acanthostrongylophora ingens から、acantholactam 及び pre-neo-kauluamine と命名した新規アルカロイドを単離し、それら化合物の生物活性と推定生合成経路を発表した (J. Nat. Prod.)。(2) 別な場所で採集した海綿 Acanthostrongylophora ingens から、acanthomanzamines A-E と命名した新規アルカロイドを単離し、それら化合物の生物活性と推定生合成経路を発表した (Org. Lett.)。(3) Xestospongia 属海綿から単離した halenaquinone が破骨細胞の分化を抑制することを発見した (Bioorg. Med. Chem. Lett.)。(4) Xestospongia 属海綿から新規プロテアソーム阻害物質として 1-hydroxyethylhalenaquinone を単離した(Heterocycles)。(5) 海綿 Petrosia corticata から、プロテアソーム阻害物質として strongylophorine を単離し、構造-活性相関について報告した (Bioorg. Med. Chem. Lett.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにインドネシアで採集した生物の抽出物から、新規構造を有する化合物や医薬シーズとして有望な化合物を単離し、「9. 研究実績の概要」や「13. 研究発表」に示す通り、成果を出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
「9. 研究実績の概要」や「13. 研究発表」に示す通り、これまでの研究は順調に進展している。今後も、各種生物活性試験の結果を参考にして、有望な生物資源については本年度も収集を行う。GPSで正確な採集場所を記録しているので、同じポイントでの採集が可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(1) 当初、日本から7名のメンバーが16日間の予定で調査研究でインドネシアに行く予定であったが、実際のところ5名のメンバーで12日間の調査研究となった。さらに、5名のうちの1名が、大学の競争的資金を獲得し、その旅費を得ることができたので、実際には4名分の旅費しか使用しなかった。そのため、次年度使用額が生じた。(2) 非常勤職員が1月中旬で辞めたが、その後、代替職員として適切な人材を雇用できなかった。そのため1ヶ月あたり約10万円支払っていた給与の2ヶ月半分を使用しないこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の直接経費は、昨年度よりも70万円少ない金額となっているので調査研究の遂行に不安があったが、昨年度の未使用分を合算して使用することにより、当初、予定していた調査研究が滞りなく実施できると考えている。
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