研究課題
1)ネパール現地調査平成26年8月10-24日の間、代表者 伊東、分担者 高野並びに中根がネパール現地調査を行った。まず、ネパール国内での植物採取許可を得るため、ネパール植物資源局と3年間の覚書の締結・調印を行った。その後、生薬有効成分の単離同定のためカトマンズの生薬市場の調査を実施し、ネパール産生薬36種類を購入した。引き続きネパール東部イラム地方のマイポカリ周辺で、Swertia chirayita の栽培地の調査を実施し、成分研究用に栽培品の収集、またシダ植物を中心とした成分研究用材料の調査と採集を行った。採集植物は、成分研究用として、Swertia 属植物2種、シダ類植物5種を採集、その他、押し葉標本として4種を採集した。さらにネパール植物資源局で調査報告会を実施した。帰国後、フィールド調査の報告書を作成して、植物資源局へ提出した。2)採取植物からの化合物の単離同定ネパールにおいて採集したシダ類(5種類)及びリンドウ科 Swertia属植物(2種類)の柵葉標本を作成し,種の同定を行った。シダ類ではAleuritopteris bicolor (Parkeriaceae) の成分研究を開始した。順次精製後、白色結晶1 は, C25のセスターテルペノイドであると考え、Aleuritopteris 属シダに主成分として含まれるcheilantenetriol とケミカルシフト値を比較した結果、全て一致した。現在、シダ類に特徴的な炭化水素分画をはじめとして、他の分画を検討中である。3)分担研究者 中根がこの数年間にわたりネパール王国を中心に近隣のアジア諸国で採取した植物からの精製品(化合物を同定済み)を用いて、TGF-βシグナルへの影響について検討を行った。現在薬60種類程度のスクリーニングを終えたが、顕著にTGF-βシグナルに影響を与える化合物を見出すことができなかった。
2: おおむね順調に進展している
H26年度は、ネパールでの現地調査を行い、シダ類等の採取を行った。しかしながら、ネパールにおける現地栽培については、植物資源局との話し合いがもたれたのみで、H27年度に先送りされた。採取したシダ類の有効成分の単離精製については、記載したようにまだ1つの化合物しか完全にわかっていないが、現在昨年度採取したシダ類に対して、単離精製を行っている。すでに分担者 中根がこれまでにネパールを中心に採取した植物のなかで単離精製を行った化合物に対して、TGF-bシグナルに影響があるかを調べたが、現在のところまだ候補分子が見つかっておらず、昨年度持ち帰った化合物を含めて、現在さらに検討中である。
H27年度は、ネパールの西部高地に採取にでかけ、H26年度採取したシダ類と異なる種類のものから化合物の単離同定を行うのみならず、ネパール植物資源局とサポートを得、現地での薬草栽培を試みる。加えて、現地滞在時に、トリブバン大学並びにネパール植物資源局所属の学生や職員に対して、研究指導を計画している。また、ネパール植物資源局との共同研究体制のさらなる充実のために本学にネパール植物資源局職員を招聘し、研究指導を行う。
H27.3に2回目のネパール現地視察並びに植物採取を行う予定であったが、ネパール植物資源局との交渉がまとまらず、また冬季ということで、次年度に採取を行うこととなった。
H27.8月にネパール西部地方に3週間、植物採取する予定。また本年度から現地栽培の委託業務を行うこと、加えてネパール植物資源局職員を招聘し、技術指導を行う。
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