本研究では、ウエステルマン肺吸虫における核DNAである、Pkイントロンの塩基配列を調べた。その結果、インド産とスリランカ産は、かなり古い時期に祖先種から分岐すること、またマレーシアとフィリピンの集団が東アジアの系統内にクラスターする系統樹が得られ、これまでのミトコンドリアDNAの系統樹とかなり異なる系統樹となった。また、Pkイントロン部位における多くの変異は、アリル間に起こる組換えによるものであることが考えられた。これは、二倍体では、減数分裂時、三倍体では、体細胞分裂時に生じるものと思われた。核DNA(Pkイントロン)のデータからもインド産とスリランカ産は、別種であると結論された。
|