研究課題/領域番号 |
26305012
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
川田 均 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (80363480)
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研究分担者 |
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (20180268)
島袋 梢 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (40735247)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マラリア / ピレスロイド / ベッドネット / 常温揮散デバイス / 忌避効果 / ハマダラカ |
研究実績の概要 |
1.メトフルトリンの用法用量決定のための小規模試験:2015年1月から4月にかけて小規模試験を実施したが、メトフルトリンストリップとオリセットネットを併用した家屋におけるマラリア媒介蚊の数は、無処理家屋あるいはオリセットプラスのみの処理家屋に比べて有意に低くなり、この効果は約3ヶ月持続することが分かった。メトフルトリンの用法用量としては、2個/10㎡が適当と考えられた。 2.試験地におけるマラリア媒介蚊の殺虫剤感受性調査:試験地に発生するマラリア媒介蚊は、Anopheles arabiensisとAn. funestus s.s.の2種であった。An. arabiensisはピレスロイド、DDTに対して抵抗性を有することが分かったが、有機リン剤やカーバメイトに対する抵抗性は低かった。kdr(作用点である神経の低感受性をもたらす抵抗性遺伝子)は発見されなかった。 3.メトフルトリンの揮散率と室温の関係:メトフルトリン処理家屋における平均室温とメトフルトリンのストリップからの揮散量との関係を調べたところ、平均室温が高い家屋ほどメトフルトリンの揮散量が低くなるという結果となった。平均室温が高い家屋はトタン屋根の家屋であり、この家屋は室内の換気量も茅葺き屋根家屋に比べると低いことから、メトフルトリンの揮散は室温の高さではなく換気量の大きさに左右されることが分かった。 4.大規模試験の開始:2015年5月に大規模試験を開始した。ゾンバ地区のChiliko、Chilore、Lamusiの3村を試験地とし、処理前のマラリア媒介蚊密度調査(2015年12月)、住民(10歳以下)のマラリア陽性率調査(2015年5月)を実施した。熱帯熱マラリア陽性率は30-50%と高い値を示した。2015年12月にメトフルトリンストリップとオリセットプラスの配布(約750軒)を終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模試験は予定通り開始できた(マラリア陽性率調査(2015年5月)、メトフルトリンストリップとオリセットネットの配布(2015年12月)、処理前のハマダラカ個体数調査(2015年12月))。また、処理後の調査についても順調に進捗している(処理後のハマダラカ個体数調査(2016年1月、2月、3月)。
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今後の研究の推進方策 |
1.大規模試験の継続:2016年4月にメトフルトリンストリップの再配布(有効期間が3ヶ月のため)、5月に処理後のマラリア陽性率調査を実施する。
2.Anopheles funestus s.s.の殺虫剤感受性調査を実施する(2016年12月)。
3.試験結果の解析を行い、良好な結果が得られた場合は、2017年1月以降の大規模試験継続について計画立案を行う。
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