研究課題
健常便および下痢便より抽出したDNAを用いて下痢の原因となる病原性アメーバ E. histolyica、E. moshkovskii ならびに非病原性アメーバ E. dispar の検出を試みた。その上で、各アメーバの陽性率と遺伝子多型を調べ、さらにタックマンアレイカードを用いて下痢起因性の各種病原体(蠕虫、原虫、細菌、ウイルスまで多岐に渡る)の同時一括検出を試みた。各種病原体の感染状況と下痢エピソードとの相関を詳細に解析したところ、各感染と下痢エピソードとの相関が見出された。赤痢アメーバの腸管感染が遷延する動物モデルではIL-17Aの発現亢進が認められた。ワクチンや腸内細菌フローラの調整などによって予め誘導したインターロイキン(IL)-17Aは、赤痢アメーバの腸管定着阻止に機能することが明らかとなっているが、感染によって誘導されるIL-17Aが赤痢アメーバ感染に果たす役割は不明である。そこで野生型とIL-17A遺伝子欠損マウスに赤痢アメーバを感染させ、赤痢アメーバ感染におけるIL-17Aの役割を解明した。感染4週目では、IL-17A遺伝子欠損マウスにおいて顕著な虫垂内アメーバ数の減少と感染率の低下が認められた。このときIL-17A遺伝子欠損マウスの虫垂では、感染野生型マウスと比べ有意にTh1サイトカインであるIFN-g、IL-12p35遺伝子の発現が増加し、Th2サイトカインであるIL-4や、制御性サイトカインであるIL-10遺伝子の発現が減少していた。本研究により、IL-17Aは赤痢アメーバ感染初期の赤痢アメーバの定着および病態形成には影響しないことが明らかとなった。一方、IL-17Aは赤痢アメーバ腸管感染の慢性期において、IFN-g/IL-4比を減じつつ、赤痢アメーバの持続感染に寄与することが示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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