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2015 年度 実績報告書

西アフリカにおける重症マラリア発生機序のアミノ酸インフォマティクス解析

研究課題

研究課題/領域番号 26305016
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

嘉糠 洋陸  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50342770)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードマラリア / アミノ酸 / 病原体 / 感染 / 病原性 / 免疫 / 宿主応答
研究実績の概要

マラリア原虫は、大半のアミノ酸合成経路を欠いている。ヒトヘモグロビンに含まれていないイソロイシン(Ile)など一部のアミノ酸は、マラリア原虫の赤血球内での増殖時に血漿中から取り込まれる。通常、血漿に含まれる遊離アミノ酸の濃度組成(血漿アミノグラム)は、恒常性を維持する範囲で一定に保たれている。我々は、マラリア原虫の赤血球への感染率上昇に従って、マウスの血漿アミノグラムが顕著に変化することを明らかにした。この宿主血漿アミノグラムは、アミノ酸配合率を調節した合成食によって人為的に誘導することが可能である。そこで我々は、食餌に含まれるアミノ酸含量がマラリアへ与える影響の検証を実施した。マラリア原虫の増殖率が異なる3系統のマウスについて、感染前後の血漿アミノグラムを解析したところ、Ileを含む一部のアミノ酸群の濃度に、原虫増殖率と比例する動態が認められた。そこで、Ile欠損食を与えたマウスにマラリア原虫を感染させたところ、原虫赤血球感染率が有意に減少することが明らかとなった。次に、タイにおいて重症マラリアと診断された患者血清のアミノグラム解析を実施した。その結果、一部のアミノ酸と重症マラリアの定義因子に関連が認められた。脳性マラリアのモデルマウスを用いた解析において、Ile欠損食を与えることによりマウスの生存率が向上することを明らかにした。栄養学的知見に基づいたこれらの結果は、マラリア制御におけるアミノ酸摂取量調整の有効性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マラリア原虫は、その生命活動に必須なアミノ酸源を、赤血球内のヘモグロビン分解に加え、宿主血液中の遊離アミノ酸に依存する。アミノグラム解析の結果から予測されたイソロイシンの貢献度から、食餌性にマラリア原虫の増殖を制御できることが明らかになり、概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

27年度の研究成果をもとに、宿主血中アミノグラムを解析パラメータとし、健常人の血中遊離アミノ酸情報(アミノ酸インフォマティクス)とマラリア原虫増殖能との相関解析を実施することにより、新規の病原体ー宿主間相互作用の解明を引き続き促進する。

次年度使用額が生じた理由

イソロイシンを用いた給餌によるマラリア原虫増殖制御研究が予想以上に進展し、それを主に据える研究計画細目を重点的に実施した。その結果、研究計画の実施順序を一部変更し、物品費(消耗品)および人件費の大部分を使用する健常人血清を用いたマラリア原虫増殖能解析関連の研究計画細目を次年度以降に実施することにしたため。

次年度使用額の使用計画

物品費(消耗品)および人件費を活用し、健常人血清を用いたアミノグラム解析と原虫側等当の解析等を実施する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] マヒドン大学(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      マヒドン大学
  • [国際共同研究] ワガドゥグ大学/国立マラリア研究・研修セセンター(ブルキナファソ)

    • 国名
      ブルキナファソ
    • 外国機関名
      ワガドゥグ大学/国立マラリア研究・研修セセンター
  • [学会発表] アミノ酸摂取量の調整によるマラリア制御の可能性2016

    • 著者名/発表者名
      齊木選射、長尾健児、石上盛敏、福本晋也、クルドゥスッドゥ スリヴィッチャ、櫻井達也、坂内慎、狩野繁之、嘉糠洋陸
    • 学会等名
      第85回日本寄生虫学会
    • 発表場所
      宮崎
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-20

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公開日: 2017-01-06  

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