研究課題/領域番号 |
26305018
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
牧本 清子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80262559)
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研究分担者 |
今野 理恵 関西国際大学, 保健医療学部, 准教授 (10341372)
小林 小百合 東京工科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20238182)
住村 欣範 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30332753)
鈴木 みずえ 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40283361)
樋上 容子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60706927)
山川 みやえ 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80403012)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症 / 行動心理学的兆候 / 有病率 / 国際比較研究 / アジア諸国 / 環境要因 / ケア要因 |
研究実績の概要 |
今後認知症高齢者が急増していくアジア地域における認知症高齢者の行動心理学的兆候(BPSD)の種類や有病率の比較し、環境要因やケア要因がBPSDの種類や有病率に与える要因を探索することである。参加研究機関は韓国・梨花女子大学、中国・南方医科大学、台湾・慈済科技大学、タイ・チェンマイ大学の4地域、日本からは関西地域・大阪大学、中部地域・浜松医科大学、関東・東京工科大学が参加した。BPSDの測定にはNeuropsychiatric Inventory Nursing Home Version (NPI-NH)を用い、訓練されたスタッフが測定した。対象者の選定基準は、1)認知症と診断されているか、Mini Mental State Exam (MMSE)<24, および2)歩行が自立している者であった。各地域から約100名リクルートを試みて、696名が分析可能であった。BPSDで、有病率が高いものは、興奮 (37%), 易刺激性 (31%), 妄想(28%)であった。各地域で認知症の重症度の分布が異なるため、認知症の重症度(Clinical Dementia Rating, CDR)別に、BPSDの有病率を算出した。また、各地域ごとに、CDR別にNPI-NHの項目別の有病率を算出した。CDR別、カテゴリ別で分母が10未満のものを除外し、地域によるBPSDの有病率を比較しているところである。NPI-NHのカテゴリの一つである「無関心」は、CDRのスコアが高くほど各項目の有病率が高くなっていた。入所者の背景が異なる7地域から集めたデータであるが、データの妥当性の高さを表していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2か国で想定外のデータ収集の遅れがあった。台湾では予定していた施設の移転が遅れ、別の施設を探す必要があり遅れた。韓国では、1施設では、選定基準に満たない入居者が多かったため、他の施設を探した。遠方の施設が参加協力してくれたが、データ収集に時間がかかった。さらに、データ入力は日本で行う予定であったが、英語の薬剤名などの手書きの解読が困難で、各施設でデータ入力を依頼した。しかし、標準化するためのエクセルのデータ入力シートを送ったが、様々な入力の相違があり、データ編集に時間がかかった。その後データ解析は順調に進んでおり、2017年度末までにに研究成果を投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在データ解析中であり、7地域におけるBPSD有病率の相違、薬剤の使用パターンの相違を中心に解析中である。認知症の診断については国により、正確な診断がついていない症例も多いため、認知症の重症度を測定するClinical Dementia Rating Scaleで、認知症の重症度を調整した、BPSDの種類別の有病率や中枢神経系作用薬剤の使用を地域別に比較する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
韓国と台湾でデータ収集が遅れた。韓国では選定基準を満たす高齢者が予想より少なく、もう1施設を追加してデータ収集を行った。台湾では予定していた施設の移転が大幅に遅れ、他の施設を探してデータ収集を行った。データ入力やデータの整理も多言語のため予定以上に時間がかかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、日本老年看護学会で国際シンポジウムを開く予定で、共同研究者の招へいを行う予定である。また、国際専門誌への投稿を予定しており、英文校正に予算を計上している。予算の範囲内で、研究成果を公表できる権利を1000ドルで購入し、研究成果を発信していく予定である。
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