今年度は、2010年にモンゴル国ボルガン県でベースライン調査、2013年に1回目の追跡調査をおこなった出生コホート研究について、2回目の追跡調査の実施をおこなった。また、並行して2010年の分娩時に作成されたカルテ情報の転記をおこない、母子の健康に関する縦断的なデータベースとしての有用性をより高めることを目的に、データ収集をおこなった。 2回目の追跡調査では、前回同様に調査時にボルガン県に在住で、2010年に出産をした母子を対象とした。産後5-6年時の母親の身体的、精神的な健康状態に加え、子どもの生活習慣、発達を評価するためのSDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)などについて情報を収集した。調査は構造化面接、自記式質問票などを併用して実施され、1076名からデータを収集した。また、2010年の分娩時のカルテ情報は946人分のデータが収集された。 今回の追跡調査の結果の概要としては、母子健康手帳を保管していた者は89%、手帳の内容では予防接種や育児情報が特に役立ったという回答が得られた。2013年時の調査でも健康問題として挙げられた子どもの肥満は20%が太りすぎ・肥満と判定され、2013年時の13%からさらに増加していることが示された。子どもの生活習慣も、22時以降の就寝時間が90%を超えていることや、虫歯がある子は68%に達しているなど、改善すべき点が示された。これらの集計結果についてはボルガン県保健局長や県の保健医療従事者に対し、報告会を開催して周知し、今後の対策について検討する機会をもった。
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